「離婚する時、住宅ローンを共同名義にしたままで良いのか。」
このような疑問をお持ちの方は多いです。
共同名義に関して知っておかないと損してしまう可能性があります。
そこで今回は、離婚時の財産分与や、共同名義にしておいて良いのかなどについてご紹介いたします。
離婚時の財産分与について
夫婦で家を購入する際、夫婦の共同名義にする場合が多いと思います。
家や土地を共同名義にする際には、それぞれの持分割合(もちぶんわりあい)を決めなくてはいけません。
持分割合について知らない人もいると思うので簡単に説明いたします。
持分割合とは、その家や土地を所有している割合のことです。
この持分割合は、一般的にそれぞれが購入する際に出したお金によって決まります。
例として、2000万円の家を購入する場合について考えてみましょう。
頭金は妻が400万円出して、残り1600万円を夫の名義でローンを組んだとしたら、持分割合は妻が2割、夫が8割になります。
ここまで、家や土地の持分割合についてお話してきたのですが、離婚で財産分与を行う際は、この持分割合は関係ないです。
家や土地を共同名義にしている方はこれを勘違いしている人が多いです。
確かに、共同で所有している不動産を所有権のある人たちで分けるときは、一般的に持分割合に則って分けます。
しかし、離婚の場合には、家は財産分与(ざいさんぶんよ)の対象になるので、持分割合は関係ないです。
財産分与とは、夫婦が結婚しているときに協力して築いた財産を、離婚したときに夫婦で分け合うことです。
ほとんどの場合、夫婦の財産形成に対する貢献度は同じくらいと考えられているので、財産分与の際には夫婦で半分ずつ分けます。
そのため、持分割合が1対9だろうと、2対8だろうと離婚する際には半分ずつ分けるのが一般的です。
共同名義のままにしておくリスクについて
離婚の際、住宅ローンを共同名義のままにすることも解消することも可能です。
解消するのが面倒で、共同名義のままにする人もいらっしゃいますが、共同名義にしておくことにはいくつかのリスクがあります。
ローンの負債を一人で背負う可能性がある
住宅ローンを共同名義にしている場合は、夫婦同士が連帯保証人になっていることが多いです。
そのため、どちらかの支払いが滞ると、もう一方の人に一括での返済が要求される場合があります。
つまり、自分名義のローンに加えて相手のローンも自分が支払わないといけなくなる危険性があるということです。
売却や相続の際に揉めやすい
共同名義のままにしておいて困るのはローンを組んでいる夫婦だけではありません。
名義人が亡くなった場合、その家や土地は遺産として遺族に相続されることになります。
離婚した後にどちらか、または両方が結婚したり子供ができたりしていれば、相続人が増えます。
相続人が増えるだけでも話がややこしくなりますし、関係性的にそもそも話し合いが難しい場合もあるでしょう。
また、共同名義の家を売却する際にも揉める可能性があります。
それは、売却するためには名義人すべての許可を得なければならないからです。
離婚をした後だと相談するのが難しい場合もあるでしょう。
離婚した後も関係が続いてしまう
共同名義ということは、その家や土地に共同で責任があるということです。
共同名義にしておくことで、嫌でも連絡を取らないといけないときがあるでしょう。
離婚したら一切連絡を取りたくないという人は、離婚するときに共同名義を解消するようにしましょう。
名義の変更方法について
共同名義の変更方法として、返済名義人を単独名義に変更するという方法が存在します。
この方法は簡単に言うと、夫婦で協力して返済しますと約束していた「共有名義」の状態から、どちらか一方の名義人がすべての支払いを行うと約束する「単独名義」の状態に変更するということです。
共同名義から単独名義に変更する方法は、住宅ローンが残っているケースと残っていないケースで少し変わってきます。
住宅ローンが残っていない場合は、比較的簡単に共同名義から単独名義に変更可能です。
具体的な方法としては、離婚が成立した後に法務局に足を運び、登記申請をすると名義が変更できます。
登記申請の際、司法書士に依頼することでより簡単に手続きが可能です。
住宅ローンが残っている場合は、共同名義から単独名義への変更が難しい場合があります。
例えばローンをすべて返してからではないと単独名義に変更できないというケースです。
このケースの場合、単独名義に変更する方法として主に2つの方法があります。
一つ目の方法は、他の金融機関を利用する方法です。
他の金融機関から買い替えをすることで、相手名義のローンを完済可能です。
例えば、夫名義の住宅ローンを妻名義に変更する場合、妻が他の金融機関で新たに住宅ローンを契約して、残りのローンはその金融機関に支払っていくことになります。
ローンを組む際には審査が必要なのですが、新たにローンを組む場合、審査に通りにくい傾向があります。
特に、住宅ローンの残債が多かったり、収入が安定していない場合は難しいでしょう。
二つ目の方法は、第三者に連帯債務者、連帯保証人になってもらう方法です。
住宅ローンを共同名義で契約している場合、夫婦同士で連帯保証人になっていることがほとんどです。
金融機関側からしたら、夫婦それぞれの収入の合計をもとに融資を行っています。
それなのに、名義人がどちらか一方だけになってしまったら、回収できない確率が上がるため、金融機関は共同名義から単独名義に変更するのを承諾してくれにくいです。
そこで、夫婦以外の第三者に連帯保証人になってもらうことで、金融機関も承諾しやすくなります。
離婚後にどちらかが住む場合の注意点について
離婚した後もどちらか一方がそのまま家に住み続ける場合、いくつか注意すべきことがあります。
一つ目は、住宅ローンが残っている場合についてです。
住宅ローンが残っていれば、離婚した後も名義人が残っているローンを支払わなくてはいけません。
ローンをすべて返済するまでは、他者への名義変更ができないですし、共同名義から単独名義に変更するのも難しいです。
二つ目は、財産分与についてです。
住宅ローンが残っていたとしても、その家が財産分与の対象になるかもしれません。
家の評価額が残っているローン額よりも大きかった場合は、財産分与の対象になります。
逆に、家の評価額が残っているローン額よりも小さかった場合は、財産分与の対象外です。
三つ目は、税金についてです。
離婚して、共同名義を解消する場合に税金がかかることがあります。
相手の持分を受け取る際に、法務局で名義変更の登記を行わなくてはいけません。
この際に、登録免許税という税金がかかります。
また、持分を渡す側にも別の税金がかかる可能性があります。
その税金は「譲渡取得税」という税金です。
ただし、住居として利用していた不動産の場合は、不動産を渡した際の利益が3000万円より多い場合のみ税金がかかります。
まとめ
今回は、離婚時の財産分与や共同名義にしておいて良いのかなどについてご紹介いたしました。
住宅ローンを共同名義にしておくとそれなりのリスクがあるのでしっかり考えるようにしましょう。
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不動産を売却しようと思っている方はぜひ利用してみてください。
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