「家の生前贈与とは一体何なのだろうか」
このような疑問をお持ちの方は大勢いらっしゃいます。
そこで今回は、その様な疑問をお持ちの方に向けて、家を含んだ、不動産の生前贈与について解説します。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
生前贈与とは何か
生前贈与とは、財産を「生前に贈与する」行為のことを指します。
生きている間であれば、いつでもだれに対しても行うことが可能です。
ただ、生前贈与を受けた人には贈与税が課税されます。
そして、この生前贈与は家や土地といった不動産でも行えます。
ただ、不動産の場合は贈与税以外にも固定資産税や登録免許税、不動産取得税などの税金も課税されます。
このように他の財産の生前贈与とは違い、贈与額が大きい分、税金の金額も大きくなるため注意が必要です。
このように、不動産の生前贈与は課税される税額が多額になるため、相続時精算課税制度を活用されることをおすすめします。
この制度は一定金額まで贈与税が非課税となる制度です。
制度を活用することで、税額を減らせるため事前に調べておきましょう。
ここまでの情報を見ると、「生前贈与にはあまりメリットが無いのでは」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、不動産を相続する場合とは違ったメリットもあります。
1つ目のメリットとして挙げられるのは、自由に時期を選んで相続税対策ができることです。
将来的に値上がりする見込みのある土地や建物をお持ちの際は、評価額が安いうちに相続しておくことで、将来相続する時よりも税金が安く済む可能性があります。
このように、時間を選べるのは生前贈与の大きなメリットです。
2つ目は夫婦間の居住用の不動産を贈与した場合、配偶者控除が適用できることです。
これは、20年以上の婚姻期間がある夫婦間で、「居住用不動産そのもの」または、「居住用不動産を取得するための金銭」の贈与が行われた場合が当てはまります。
この場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除できるという特例があります。
相続税の仕組みを活用しても、配偶者に相続税が課される可能性がある場合には、生前贈与を行うことで、控除を受けるメリットがあると言えるでしょう。
3つ目のメリットとして地代収入による預貯金に相続税がかからないことが挙げられます。
贈与の場合、贈与が完了した後は収益に対して課税されることはありません。
収益がでている土地は生前贈与しておくことで、その利益を課税されることなく贈与した方に引き継げます。
4つ目のメリットは相続のトラブルを予防できることが挙げられます。
生前の間に相続人の間で話し合っておくことで、遺産の相続でトラブルになることを防げます。
5つ目のメリットは法定相続人以外にも贈与できることです。
一般的に相続は、法定相続人に相続を受ける権利があります。
そのため、法定相続人以外の方に財産を相続させたいと考えた場合には、遺言書といったものをしっかりと用意しておく必要があります。
それに対して生前贈与は、相続のような決まりはないため基本的にはだれにでも贈与を行うことが可能です。
以上のように生前贈与には多数のメリットがあります。
相続との違い
先ほどは、生前贈与とは一体何なのかについてご紹介しました。
ただ、先ほどの説明だけでは相続との違いがよく分からないといった方は多いのではないでしょうか。
そこでここでは、相続との違いをご紹介します。
上述したように、生前贈与とは生きている間に財産を継承することを指します。
それに対して相続は亡くなった場合に財産が継承されることを指します。
先ほどメリットを列挙しましたが、ほとんどの場合では相続した場合の方が損しないことが多いです。
だだ、生前贈与であれば相続を前倒しできるため生前に自分の意思で相続させたい人に財産を渡せます。
このことが生前贈与の大きなメリットと言えるでしょう。
ただ、相続とは異なり登録免許税や不動産取得税などさまざまな税金がかかることについてはよく調べておく必要があります。
特に、法定相続人に生前贈与される場合は、一般的に相続したほうがお得であることが多いです。
このように、生前贈与と相続にはそれぞれ良さがあるため、どちらも上手く活用されることをおすすめします。
生前贈与がおすすめできる事例
先ほどは相続税との違いについてご説明させていただきました。
では、生前贈与はどのような時であればお得なのでしょうか。
ここからは、生前贈与をおすすめできる3つのケースについてご紹介します。
1つ目は収益を生み続ける不動産がある場合が挙げられます。
メリットの部分でもご紹介しましたが、賃貸収入のような継続的に利益が得られる不動産を所有している場合は、生前贈与を行ったほうが将来の相続税を節税できる可能性が高いです。
特に、贈与の際に相続税評価額が低くなりがちなマンションの建物部分だけを贈与しておくと、贈与税やその他の税金の負担を少なくして贈与できます。
2つ目は将来的に値上がりするのが期待できる土地を所有している場合です。
こちらもメリットの部分でもご紹介しましたが、値上がりが期待できそうな土地を所有している場合は生前贈与をしたほうがお得です。
今の土地の評価額はそれほど高くなくとも、将来的に高額になるのが確実な土地は、評価額が低いうちに贈与をしておいたほうが税額を抑えられる可能性が高いです。
3つ目は相続税がかからない場合です。
贈与予定の財産が相続税の基礎控除の範囲内に収まる場合は、「相続時精算課税制度」を利用して、土地や建物といった不動産を生前贈与するのは効果的です。
相続時加算課税制度を利用すると相続税の申告が必要になります。
ただ、贈与した不動産を加算した上であっても、基礎控除の範囲内に収まっていれば相続税の納付の必要が無いため、不動産を生前贈与しても問題ありません。
以上の3つの事例に当てはまる場合は生前贈与が効果的です。
ぜひ参考にしてみてください。
生前贈与を行う際の注意点
ここまで、生前贈与についてさまざまなことをご紹介しました。
最後に、生前贈与を行う際の注意点についてご紹介します。
1つ目は生前贈与をしたつもりになってしまっていることです。
贈与とは贈与をする側と受ける側の双方の合意があって成り立つものです。
そのため、子どもや孫の口座にこっそりと基礎控除額以下の100万円を振り込んでいても、贈与と認められない場合があります。
このように、受け取る側の認識がしっかりとしていない場合は贈与と認められないことが多いため、注意する必要があるでしょう。
2つ目は長期間の定額贈与についてです。
暦年課税を利用する場合、1年ごとに110万円の基礎控除が認められています。
そのため、できるだけ長い期間贈与を継続したほうが税の負担は少なくなると言えます。
具体的には1,000万円の贈与であるなら、100万円を10年間贈与し続ければ基礎控除の範囲内となるため、贈与税の負担はありません。
しかしながら、途中で贈与していた方が亡くなってしまった場合は、その後贈与予定だったものは相続税の課税対象となってしまいます。
加えて、相続発生の3年以内の贈与も相続税の課税対象となってしまうため注意が必要です。
以上が生前贈与を行う際の注意点になります。
まとめ
今回は家の生前贈与とは何なのかについてご紹介しました。
本記事が生前贈与をお考えの方の参考になれば幸いです。
また当社では、不動産の売却に関するご相談を受け付けております。
不動産を事前に売却しておきたいという方は、ぜひお気軽に当社にご相談ください。