これは不動産にまつわるミニドラマです。
難しいイメージのある不動産のニュースや法律・知識を物語形式にすることにより、分かりやすく伝える試みです。
※ 本ドラマは実際の法律や記事に基づいて作成していますが、時期や地域および状況によっては内容が異なる可能性もございます。御注意ならびに御了承くだいますようお願い致します。
※ 本ドラマで出てくる登場人物、団体等は全てフィクションです。
中村家の家族は、岡山市の古い一軒家に住んでいました。家の主である中村さんは、80歳を超えていましたが、健康でまだまだ現役のように見えました。しかし、最近はふとした時に、自分の財産の行方について考えることが増えていました。息子の健二さんも、もうすぐ60歳。退職を控え、彼自身も老後の生活を見据える年齢です。そんな中で、中村さんは「老老相続」について意識するようになったのです。
ある日、中村さんは新聞で「老老相続」という言葉を目にしました。それは、相続人の半数が還暦を過ぎた人々であり、遺産が次世代ではなく、高齢者間で受け渡される現象が広がっているという記事でした。2022年のデータでは、60歳以上の相続人が52.1%を占め、50代は27%、49歳以下はわずか20.6%に過ぎないとのこと。中村さんは、これが自分たち家族の未来にも関わる話だと気付きました。
彼は、家族の未来をどう考えるべきか、特に健二さんのことが心配でした。健二さんは長い間働いてきましたが、今や定年を控え、貯金はあっても若い頃のように稼ぐ力は弱まっています。さらに、彼の子どもたちは住宅ローンを抱え、経済的な負担が増える一方です。中村さんは、これから健二さんがこの家を相続しても、その先どうやって維持していけるのか、不安を感じていました。
中村家のような高齢世帯では、毎月の支出は現役世代に比べて少ないことが多いようです。総務省のデータでは、70歳以上の夫婦世帯の平均家計支出は約25万円ですが、現役世代は29万円以上と、約4万円の差があるのです。また、高齢者の貯蓄は増えており、70歳以上の平均貯蓄は2503万円。これに対し、若年層は住宅ローンを含む負債が多く、貯蓄が少ないという現状もあります。
中村さんは、こうした世代間の資産の偏りが家族全体の生活にどう影響を与えるかを考えました。もしも自分の財産を早めに健二さんに譲ることができれば、彼の老後の負担を少しでも軽くできるかもしれない。相続時精算課税制度がを利用すれば、最大2500万円までの贈与が非課税となり、納税を相続時に後ろ倒しすることができるということでした。
また、教育資金や住宅取得に関する贈与の非課税措置といった制度があることも知りました。ただ、教育資金の非課税措置の手続きを調べると、煩雑な手続きが伴うことを知りました。中村さんは、孫のために教育資金を贈与したいと思っていましたが、一括で贈与する場合、非課税枠内であっても領収書を提出するなどの手間が多く、不安が残ります。
「長生きは素晴らしいことだが、その分、資産の使い道をよく考えないといけない」と中村さんはふと思いました。日本人の平均寿命は男性で81歳、女性で87歳。中村さん自身、あと10年、20年と生き続けるかもしれませんが、その間に何が起こるかはわかりません。
中村さんは、健二さんと話し合い、どうやって財産を分配するかを一緒に考え始めました。「お父さん、贈与のタイミングや額は慎重に考えないとね」と健二さんは言います。もし相続や贈与にかかる税金が負担となれば、かえって家族に迷惑をかけてしまうかもしれません。
このような老老相続の増加は、中村家だけでなく、多くの家族にとって現実的な課題となっているのです。資産が高齢者に集中し、若年層が負債を抱えたままという状況が続けば、経済全体への影響も大きくなります。中村さんは、これからの家族の未来のため、今できることを少しずつ進めていこうと心に決めました。
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