これは不動産にまつわるミニドラマです。
難しいイメージのある不動産のニュースや法律・知識を物語形式にすることにより、分かりやすく伝える試みです。
※ 本ドラマは実際の法律や記事に基づいて作成していますが、時期や地域および状況によっては内容が異なる可能性もございます。御注意ならびに御了承くだいますようお願い致します。
※ 本ドラマで出てくる登場人物、団体等は全てフィクションです。
こんにちは!今日は、隣の家との境界にある塀や障壁の高さ変更について、少し掘り下げて考えてみましょう。境界の問題は一見些細に見えますが、お互いの生活環境に影響を与えやすく、トラブルが起きやすいポイントです。「隣との塀を高くしたい」「これって許可がいるの?」と思ったことはありませんか?
隣人の許可は本当に必要?法的なポイントとは
ある日、佐藤さんが庭の塀をもう少し高くしたいと考えました。理由は、「もう少しプライバシーを確保したい」ということ。そこで、隣の田中さんに相談することなく業者に依頼して、さっそく塀を高くする工事を始めました。
しかし、その数日後、田中さんが「急に塀が高くなって驚いた。うちの日当たりが少し悪くなってしまって…」と佐藤さんに声をかけてきました。佐藤さんは、実は許可がいるのではと心配になり、改めて法律を確認することにしました。
実は許可不要?!その理由とは?
実際、隣地との共有障壁を高くする場合でも、隣人の「承諾」は法律上必ずしも必要ありません。日本の民法では、隣接する土地や建物の使用や管理について一定のルールが定められており、塀や障壁の設置や高さについても規定があります。ところが、この高さの変更には隣人の許可が必須ではないのです。理由は次の2つに集約されます。(※ 地域の条例や建築基準法で規制がある場合があります。必ず確認は行って下さい)
1. プライバシーと安全確保の自由度
塀や障壁の高さを変更することは、土地所有者が自分の土地を快適に利用する権利の一部として認められています。防犯上やプライバシー保護のための配慮が目的であれば、一定の範囲で高さの変更が許されているのです。特に日本では、敷地が狭く隣家が近いケースが多いため、境界の障壁をどのように使うかが居住者に委ねられやすいと言えます。
2. 隣地に影響がない限り、使用自由が優先
法律は、個々の土地所有者の使用自由を尊重する原則に基づいています。例えば、日当たりや風通しが極端に悪くなる場合など、隣人の生活に「過度な支障」が発生する場合には例外的に問題になる可能性があります。しかし、一般的に数十センチ単位の塀の高さの変更では隣人の同意を義務付けるほどの「大きな迷惑」がないと考えられているのです。
誤解から生じる近隣トラブル
このように「承諾不要」とは言え、隣地の住民にとっては不意の変更が不快に感じられる場合もあります。佐藤さんは、法律上問題がないと確認できたことで安心しましたが、それでも田中さんに誠意を持って対応することにしました。話し合いの結果、田中さんの日当たりに配慮して塀の高さを少し調整し、今後の変更も事前に話し合うことに。結果的に、良好な関係を保つことができました。
まとめ:隣人との信頼関係を築くために
今回の佐藤さんのケースからもわかるように、法律上の問題はないからと言って、必ずしもトラブルが防げるわけではありません。大切なのは、隣人との信頼関係と、お互いの生活を尊重し合う姿勢です。境界の障壁を変更したいと思ったときには、まず一度隣人に相談しておくことが、トラブル回避の大きな一歩になるかもしれませんね!
ぜひ、みなさんも境界のルールとコミュニケーションを大切にして、安心して暮らせる環境を築いてください。