これは、不動産に関する法律や税金の知識を、物語形式でわかりやすくお伝えするミニドラマです。
登場する人物や団体はフィクションであり、実在のものではありません。
「新築の家じゃなくても、私たちにぴったりの住まいってあるのかもね」
休日の午後、陽一と美咲は近所の公園で将来の話をしていた。もうすぐ子どもが生まれる。そろそろ手狭な賃貸を出て、家族で過ごせる場所が欲しい。でも、都心の新築は高すぎるし、ローンの負担も心配だった。
そんなある日、美咲が見つけたのが「フラット35中古プラス」という新制度だった。
これは、住宅金融支援機構が創設したもので、良質な中古住宅を対象に、住宅ローンの金利を当初5年間、年0.25%引き下げるという仕組み。最近の物価上昇や住宅価格の高騰を受けて、中古住宅に注目が集まる中、特に若い世代や子育て世帯にとって魅力的な制度だ。
ただし、この制度を利用するには条件がある。購入する住宅が、住宅金融支援機構が定めた技術基準に適合していなければならない。例えば、屋外に面する開口部や給排水・給湯設備、床、天井、バルコニーなどがすべて点検対象だ。検査機関や技術者が目視で状態を確認し、劣化などがないかを調査する。つまり、「一定の品質が保証された住宅」でなければ、制度は使えない。
「ちゃんと基準をクリアした家しか対象にならないってことなら、むしろ安心できるね」
陽一の言葉に、美咲も頷いた。
2人は希望エリアで中古住宅を探し始めた。築年数は経っているものの、丁寧にリフォームされた物件に出会ったとき、2人の顔に自然と笑みがこぼれた。リビングには温かい光が差し込み、これからの生活がすっと思い描けるような空間だった。
その頃、美咲の実家で空き家になっていた祖父の家をどうするかという話題が持ち上がった。そこで陽一が「不動産売却王」で試しに無料査定をしてみたところ、思っていたよりも高く評価された。オンラインで手軽に確認でき、必要があれば売却もサポートしてくれるという点で、美咲の家族も前向きに検討し始めた。
そして数ヶ月後。新しい家で迎えた最初の朝、美咲がふとつぶやいた。
「新築じゃなくても、こんなに居心地がいいなんて驚きだね」
赤ちゃんの寝息を聞きながら、陽一も静かに微笑んだ。
中古住宅という選択。それは節約だけでなく、安心と確かな未来を手に入れる手段だった。
