共有名義の不動産を売却するご予定の方はいらっしゃいませんか。
共有名義の場合は何かと手続きなどが複雑な場合があります。
この記事では、売却する際の税金について解説します。
ぜひ参考にしてみてください。
共有名義の不動産を売却する方法とは?
共有名義とは1つの不動産をいくつかの人で同時に所有している状態のことを指します。
例えば、共有名義になるケースは、夫婦が共同で不動産を買った場合や、相続人が複数人いてみんなで相続した場合などが挙げられます。
共有名義は、共有している名義人がみんな平等に権利を持っている状態です。
そんな共有名義の不動産はどのように売却したら良いのでしょうか。
1つ目の方法は、自分の共有持分のみを売却する方法です。
共有名義の不動産はそれぞれの持分が決まっています。
その持分のことを共有持分と呼びます。
自分の共有持分に関しては、他の共有者の同意がなくても売却ができるのです。
不動産の全体を売ろうとする場合は、全員の同意が必要になります。
そのため、同意を得られない場合などは自分の共有持分のみを売却する方法があるでしょう。
しかし、デメリットも挙げられます。
不動産の一部のみを売りに出したとしても、その部分以外が他の所有者のものであれば、その一部を購入したいという人はあまりいません。
需要が少ないために、売却が難しかったり売却できても価値が下がったりしてしまいます。
2つ目の方法は、共有名義の不動産が土地の場合なら分筆して売却することです。
分筆とは、もともと1つの土地だったものを線で分けたように分割することです。
分筆された土地は、それぞれが独立した別物の土地として登録されます。
そのため、分筆することで、それぞれの土地の所有者となれるのです。
分筆の手順は、まず土地の境界線を明確にすることからです。
土地を測量するなどによって、境界線を確定します。
そして、確定が問題なくできたら、分筆登記に必要な書類を用意します。
分筆のメリットは、完全に名義が違うもので土地をそれぞれ所有できることです。
つまり、トラブルを回避できるでしょう。
ただ、デメリットとしては、分筆の手続きは通常数ヶ月を要します。
そのうえ、土地の面積や市街化調整区域などの理由によって分筆ができないという可能性もあるでしょう。
注意してください。
3つ目は、共有者全員の同意のもと売却することです。
上記の2つは、それぞれ別の行動をとる場合のものでした。
それらとは異なり、共有者全員が同意していたら、不動産を売却することも可能です。
通常の不動産売却と同じように売却できます。
不動産が売れてから、持分に応じて金額が分配されるでしょう。
全員が同意していたら、最もスムーズに問題なく売却ができる方法です。
しかし、誰か1人でも反対している人がいたら実現しないので、注意が必要です。
共有名義の不動産を売ったら3000万円特別控除の特例が受けられる?
一般的に、マイホームなどを売却すると、譲渡所得から3000万円まで控除できる特例が利用できることがあります。
特例を利用できるかは一定の要件を満たす必要があります。
要件とは、実際に住んでいた家であることや、住まなくなって3年が経過した年の年末までに売却することなどが挙げられます。
共有名義の不動産の場合も同様です。
3000万円特別控除の特例は、それぞれの共有者が受けられるでしょう。
例えば、譲渡所得が4000万円の不動産を売った兄弟がいるとします。
この兄弟は不動産を共有していて、不動産は共有名義でした。
この場合、それぞれの譲渡所得は2000万円です。
特例が適用されるので、課税対象となる譲渡益は0になるでしょう。
ただ、この不動産が土地の場合は特例を利用できません。
3000万円特別控除の特例は、実際に住んでいた家にのみ適用されるものです。
そのため家屋ではなく、土地を売却した場合は、適用できないので注意してください。
確定申告について解説
続いては、確定申告について解説します。
確定申告は手続きがなかなか複雑で敬遠してしまう方も多いのはないでしょうか。
できるだけわかりやすく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
まず前提として、共有名義の不動産を売った場合は、確定申告をする必要があります。
共有名義ではない場合も同様ですが、不動産を売ることによって利益が生じたら、売却益に対して税金が発生します。
その税金とは所得税と住民税です。
これらを納めるために、確定申告が必要なのです。
ただ、そこで既に所得税を払っていると思われる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、不動産を売った場合の所得は、分離課税といわれるもので、その他の所得とは別で計算する必要があるのです。
次に、税金の計算方法をご紹介します。
不動産などの資産を譲渡することで発生する所得を譲渡所得といいます。
譲渡所得の計算方法は、譲渡価格から取得費と譲渡費用、そして特別控除を引きます。
譲渡価格とは、その不動産が売れた金額のことを指します。
売買契約書で確認できるでしょう。
ここでの取得費とは、不動産を購入した費用や減価償却費が含まれます。
購入した費用に含まれるのは、不動産そのものの価格の他に、不動産へ支払った仲介手数料や登録免許税などです。
減価償却とは、耐用年数をもとに数年に分けて経費として計上することをいいます。
譲渡費用は、買主に譲渡した時に発生した費用のことを指します。
例えば、不動産会社に支払いをした仲介手数料や印紙税などが挙げられるでしょう。
特別控除も引くことを忘れないでください。
マイホームの場合は、3000万円特別控除が受けられることがあります。
3000万円以下の場合は、税金がかからないという特例でした。
譲渡所得の金額が求められたら、共有持分で配分をします。
ここで注意が必要なことが、配分する金額は特別控除を差し引く前の金額です。
特別控除はそれぞれに対して適用できるためです。
確定申告の方法をご紹介
最後に確定申告の方法をご紹介します。
まず、確定申告の時期に関しては、原則として、1月1日から12月31日までの所得を翌年の2月16日から3月15日までに申告して納税をすることです。
この日程は年によって少し変わることもあるので、注意が必要です。
国税庁のホームページなどで確認いただけるでしょう。
確定申告は書類を提出しますが、そのフォーマットは決まっています。
書類を入手する方法は以下の3つあります。
・最寄りの税務署
・郵送
・インターネット
最寄りの税務署では、窓口まで行き書類をもらいます。
税務署に行くと、自分の申告すべき内容に応じた申告書を選んでもらえたり、確定申告の手引きなどを渡してもらえたりします。
郵送の場合は、返信用封筒と、希望の申告書様式、所得税確定申告の手引き、そして簡単に申告内容を書き留めたメモ用紙を同封して税務署まで郵送します。
返信用封筒に切手を貼付することを忘れないようにしてください。
インターネットの場合は、国税庁のホームページより申告書用紙などをダウンロードできます。
確認してみてください。
まとめ
この記事では、共有名義の不動産を売却する場合について詳しく解説しました。
共有名義の不動産を売却するとなると、全員の同意が必要でした。
また、確定申告もする必要があるので、この記事を参考にしてまずは期限に間に合うように書類の入手からすることをお勧めします。
■関連記事
★ 共同名義の家はどうなる?離婚の際の財産分与について(2022/03/22)