「敷地内に井戸がある土地を売却したいが、売れるかわからない」
このようにお悩みの方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、敷地内に井戸がある土地の売却方法をご紹介します。
また、井戸がある土地の売却で売主の責任が問われるケースや井戸を解体する際の手順についてもご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
敷地内に井戸がある土地はどうすれば売却できる?
「井戸のある土地を売却したい」とお考えの際、井戸をどう処理するべきか迷った方も多いのではないでしょうか。
その井戸がまだ使用できるかどうかは別として、井戸をそのまま放置しておくと様々なトラブルの原因になってしまう場合があります。
そのため、土地を売却する際は井戸を取り壊してから売るのが一般的です。
しかし、一言で「井戸を取り壊す」とはいえど、ただ単純に土で埋めればいい訳ではありません。
必ずしも必要ではないですが、地域によっては信仰が強い場合もあるため、井戸を埋める際はお祓いが必要となるケースが存在します。
また、埋め戻しを行う際には、井戸がすでに機能していない場合は中に残っている水を汲み上げて掃除をし、残っているガスや湿気などを井戸の外に出す工程も必要となります。
解体業者の方ではお祓いの手配まで行ってくれない場合がほとんどなので、お祓いをする場合は各自で神社やお寺などに依頼をする必要があるでしょう。
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井戸がある土地の売却で売主の責任が問われるケースとは?
井戸付きの土地を売却する際には、売主の責任が問われる場合が存在します。
井戸など大きなものが埋まっていると、その土地の地盤が通常より弱くなってしまう可能性があります。
そのため、土地の売買契約の際には、売主には買主に対して井戸などの埋蔵物があるという事実を告知する義務があります。
このような告知をせず、土地の売却後に埋蔵物が見つかった場合は、売主に「瑕疵担保責任」という責任が問われる可能性があるため注意しましょう。
なお、2020年4月に民法が改正されたことにより、瑕疵担保責任は「契約不適合責任」へと変わりました。
売主の責任が問われるケースは「隠れた瑕疵」があった場合ではなく、契約書にかかれた内容と瑕疵があっていないと判断された場合です。
そのため、契約書等にもしっかりと井戸の埋め立ての事実を記載するようにしましょう。
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土地を売却する際に敷地内の井戸を解体する場合の費用とは?
敷地内に井戸がある土地を売却する際には井戸を解体するのが一般的とご紹介しましたが、井戸を解体するための費用の相場は一体どのくらいするのでしょうか。
1つの井戸の解体にあたり、一般的には10万円前後の費用が必要です。
しかし、井戸の大きさ・深さや周りの土地の状況によって費用は変わってくるので、いくらくらいかかるのかといった判断を素人が行うのは難しいでしょう。
そのため、井戸を解体する前に、費用を解体業者に確認しておくのが良いかもしれません。
また、お祓いの費用はどのくらいかかるのでしょうか。
費用の相場としては、神主さんの出張費用も含んで2万~3万円です。
一般的に、お祓いは神主さんに依頼する場合が多いですが、依頼先の神主さんによっても異なりますので、こちらも事前に神主さんに確認するのがおすすめです。
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井戸を解体する際の手順をご紹介!
ここからは、井戸を解体する際の具体的な手順について3ステップでご紹介します。
解体自体は、通常解体業者に一任することが多いですが、お祓いや息抜きについてはやるかどうかをご自身で判断し、手配する必要があります。
既に使わず放置されている井戸は、一定の手順にそって解体すれば大丈夫なので、丁寧に工事を行いましょう。
1ステップ目が、解体前の魂抜きです。
この魂抜きは、一般的にお祓いと呼ばれるものです。
このお祓いに関しては、依頼主の方が行うかどうかを判断し、手配することになります。
これまで人々の安全や生活を守ってくれた井戸に対する感謝を、魂抜きを行うことで表しましょう。
万物には命が宿っているという考えの元で、解体工事の前に魂抜きを希望される方は多いです。
井戸や水の神様に対して思いをはせながら、魂抜きと向き合いましょう。
2ステップ目が、息抜きです。
解体作業は、井戸自体を完全に埋め立てて井戸の機能停止を計るケースが多いです。
この解体作業の際に息抜きを行うことで、その後の埋め戻し作業をより順調に行えるでしょう。
息抜きとは、井戸に宿っている水神様が井戸の外に出られるようにと願いを込めて行われ、井戸にたまっているガスなどを外に排出する役割も果たします。
井戸の中に水分やガスがたまった状態で埋め戻しを行ってしまうと、その後の土地の地盤に悪影響を及ぼす可能性が高くなるので注意が必要です。
息抜きでは、パイプを使用して井戸の中にあるものを吸い上げます。
最終的には、井戸の中にある水が全てなくなるまで繰り返します。
長期間使用していない井戸であっても水が意外に溜まっているという場合も少なくありませんし、水が溜まっていない場合はガスや湿気を蒸発させることが大切です。
また、基本的にこの息抜きは解体業者が行う場合が多いです。
3ステップ目が、井戸の埋め戻しです。
先ほどもご紹介したように、本格的に井戸を埋め戻して井戸の穴を塞ぐことで、機能を停止させます。
井戸がある場所の地下には、他の土地と同様に地層があり、様々な土や砂が混ざって地層を構築しているため、その地層に沿って順番通りに土砂を埋め戻す必要があります。
このため、井戸を埋め戻す際には以下の2点を意識しましょう。
・井戸の底は砂などの粒が大きいもので埋め戻し、地下水がスムーズに流れるようにする。
・井戸の上の部分は、地方から雨水が直接入ってこないような形状の素材を使用する。
この2点を意識して井戸を埋め戻すことで、井戸をスムーズに撤去できるでしょう。
また、井戸から繋がる土管に関しても、基本的には一緒に取り除きます。
土管の周りに空洞があることがあり、そのまま放置すると将来土地が沈んでしまう恐れがあるのです。
しかし、土管を取り除くことでプラスの解体料金がかかる場合もあるので、解体業者の方に相談してみてください。
井戸を解体する際の地盤への影響は?
「井戸を解体してしまったら、その後に地盤が緩くなってしまわないか心配」とお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、順序に沿って井戸を埋立てできれば、地盤に関して特段の心配はいりません。
井戸自体が人工的につくったものなので、先ほどご紹介したような手順でしっかりと埋立てれば、自然本来の姿に戻るだけです。
ただし、埋立てた井戸がある場所の上に基礎杭を建てるのは、多少のリスクがありますので避けるのが無難でしょう。
先ほどもご紹介したように、井戸があった事実を隠して売買してしまうと、瑕疵担保責任に問われてしまう可能性があります。
そのような事態を避けるために、井戸があった場所はしっかりと把握しておいて、売却の際にはしっかりと説明できるようにしておきましょう。
井戸があった場所は図面上で把握しておくのがおすすめです。
まとめ
今回は、敷地内に井戸がある土地を売却しようとお考えの方に向けて、敷地内に井戸がある土地の売却方法についてご紹介しました。
また、井戸がある土地の売却で売主の責任が問われるケースや、井戸の解体費用、解体手順についてもご紹介しました。
この記事が皆さんの参考になれば幸いです。