土地を購入する際、ほとんどの方は「その土地は安全な土地なのか」といったことを懸念します。
多くの方にとって、安全性は土地を利用する上で最も重視したいポイントなのです。
そういった購入者の意識があることから、津波や洪水のリスクがある土地をお持ちの方は、「この土地を売りに出したとしても売れないのではないか」と心配されるかもしれません。
そこで今回は、津波や洪水のリスクがある土地の売却に関して、土地の売れやすさや売り出す際のポイントをご紹介します。
そもそもの売れやすい土地・売れにくい土地の特徴もあわせてご紹介しますので、土地の売却をお考えの方はぜひご覧ください。
売れやすい土地はどんな土地?
売れやすい土地の条件としては多くのことが挙げられますが、例えば以下のポイントが挙げられます。
1.形が整っている
利用目的に関わらず、最も好まれる土地は正方形や長方形に近い「整形地」です。
整形地は住まいを建てるにしても商業施設を建てるにしても使いやすく無駄な部分が生まれにくいため、その分評価額も高くなります。
2.立地が良い
公共交通機関のアクセスが良かったり商業施設が充実していたりと、利便性が高い土地はニーズが高く、多少高い価格でも売れやすいです。
また、広い道路に面していることも立地の良さに含まれます。
3.方角が良い
南向きの土地は日当たりが良いため、そうでない土地に比べて売れやすくなります。
夏は太陽の位置が高く、冬は反対に太陽の位置が低くなるため、南向きに建物を建築できる土地では、「夏は日光が部屋の中に差し込まず、冬は部屋の奥まで日光が差し込んでくる」といった理想的な状況を実現できるのです。
4.適度な面積がある
家を建てるには狭い土地である「狭小地」は条件が悪く、十分な面積がある土地に比べるとどうしても売れにくくなってしまいます。
一方で、土地が広ければその分価格も上がるため、面積が大きければ良いとも限りません。
広さの需要はケースバイケースですが、一般的には狭すぎず広すぎず、適度な広さが最も売れやすい土地であると言えるでしょう。
売れにくい土地はどんな土地?
売れにくい土地の条件も様々ですが、例えば以下が挙げられます。
1.土地の需要が少ないエリアにある
需要の有無は、土地の売れやすさに最も影響する要素の1つです。
どれだけ条件の良い土地でも、土地の需要が全くないエリアであれば土地を売ることは難しくなってしまいます。
反対に、条件があまり良くない土地でも需要が高いエリアでは比較的高値で売れる場合もあるため、土地の需要は売却において非常に重要度の高い要素であると言えます。
2.境界がはっきりしていない
立地が良かったり、需要が高いエリアであったりしても、境界がはっきりしていない土地はかなり売却が難しくなってしまいます。
土地の境界がはっきりしていなければ、購入後に近隣とのトラブルに巻き込まれるリスクが高くなるため、土地を買う側からすると大きな不安材料になってしまうのです。
3.土地の条件が悪い
「条件が悪い」と言うと様々なパターンが挙げられますが、例えば「形状が悪い」「立地が悪い」「周辺環境が悪い」といったことが考えられます。
より具体的に言うと、「土地が三角形になっている」「敷地に接している道路が細すぎる」「近隣に墓地などの嫌悪施設がある」などといったことが例として挙げられます。
4.土壌汚染などの問題を抱えている
土壌汚染や地中障害物など、深刻な問題を抱えてしまっている土地は、当然ながら売れにくくなってしまいます。
土壌汚染は健康被害のおそれを抱かせてしまいますし、地中障害物は後々大きな問題を引き起こすリスクを孕んでいます。
こうした何かしらの問題を抱えている土地を売る際には、可能であれば問題を解決してから売りに出すことが望ましいと言えるでしょう。
津波や洪水のリスクがある土地は売れない?
災害リスクのある土地は売れないのか
ここまで、売れやすい土地と売れにくい土地の特徴をそれぞれご紹介しましたが、売れにくい土地の特徴としては他にも、「津波や洪水などの災害リスクがある」といったことが挙げられます。
日本は1年を通して災害が多く、特に津波や洪水などの水害は全国的に大きく報道されることも多いため、土地選びの際には多くの方がそうした災害のリスクを判断材料の1つにします。
そのため、津波や洪水のリスクがある土地をお持ちの方は「災害リスクがあるから、売ろうと思っても売れないのではないか」と心配されるかもしれません。
しかし、災害リスクがある土地でも、売却は十分可能です。
ただし、災害リスクがマイナスの要素となってしまうことは事実ではあるため、災害リスクが全く関係ないというわけではありません。
売り出す土地のエリアやリスクの度合いによって、売れやすさが変わったり、価格が安くなったりしてしまう場合もあります。
例えば、災害リスクがある土地でも、土地の需要が高い都市部ではそれほど売れやすさに影響することはありません。
一方で、それほど需要が高くない(土地が余っている)郊外や田舎では、災害リスクのある土地は選ばれにくくなってしまいます。
今後は災害リスクが価格に反映される傾向になる
前述の通り、土地需要が高い都市部では自然災害リスクは不動産価格にほとんど影響しません。
しかし、近年では相次いで異常気象や大きな自然災害が発生しており、災害に対する人々の意識も以前に比べて高まってきています。
また、2020年8月からは、不動産の賃貸・売買において、水害リスクの説明を行うことが義務化されています。
こうした状況から、今後は都市部などの需要が高いエリアでも災害リスクが価格に反映されるようになる可能性があると言えます。
実際に被災した土地は価格が下がる
もう1つ重要なポイントとしては、「実際に被害に遭っているかどうか」といったことが挙げられます。
同じような災害リスクが想定される土地でも、実際に被害に遭っている土地とそうでない土地とでは、売却価格に差が出る傾向があります。
被災した事実を隠すことはできず、売買の際には重要事項説明に被災した事実を明記しなければなりません。
できるだけ安全な土地が欲しいと思うことは当然であるため、価格の差が出てしまうことは致し方ないことだと言えるでしょう。
災害リスクのある土地を売る際のポイント
災害リスクのある土地を売却するにあたって重要なことは、「きちんと説明をする」ということです。
災害リスクがあるということは、土地の売却において不利に働きますが、だからと言って災害リスクを隠すことは、法的にも道義的にもしてはいけません。
津波や洪水などの水害に関する災害リスクの場合は、それぞれの土地のリスクを示すものとして、「水害ハザードマップ」があります。
売却する物件がこの水害ハザードマップの中でどの区域にあるのかについては、重要事項説明書への記載と買主への説明が必須となっています。
また、過去に洪水の被害を受けたことのある土地の場合は、そうした被害状況についてもきちんと告知しておく必要があります。
こうした告知や説明を正しく行わないと、後になって災害リスクが発覚した場合、契約不適合責任を問われることになる可能性があります。
そのような事態は売主にとっても買主にとっても大きな損害となるため、くれぐれも説明を怠ったり意図的に情報を伏せたりせず、適切に情報開示を行うことが重要だと言えます。
まとめ
今回は、津波や洪水などの災害リスクがある土地の売却に関して解説しました。
土地売却において、売れやすくなる条件と売れにくくなる条件としてはさまざまなポイントが挙げられます。
災害リスクは土地が売れにくくなる条件の1つですが、人の命に関わる問題でもあるため、きちんと事実を伝えることが何よりも重要です。
需要が高いエリアなどでは必ずしも災害リスクが大きなマイナスになるとも限らないため、まずは前向きに売却を考えてみると良いでしょう。