空き家を所有することで負う義務は、主に「納税」と「管理」の2つです。
とは言っても、自分が何の税金を納めるのか分からないことには始まらないでしょう。
また、「住んでいないのだから支払わなくても問題ないのでは」とお考えの方も中にはいらっしゃると思います。
しかし、実は空き家を所有することの義務を放置すると、普段の生活に支障をきたす可能性があります。
そこで今回は、空き家にかかる税金と、放置するリスクをご紹介します。
空き家にかかる税金をパターン別にご紹介!
はじめに、空き家にかかる税金をご紹介します。
空き家を相続する方は、まず「相続税」と「登録免許税」がかかります。
相続税は、空き家に限らず土地や家屋などの不動産を相続したときには必ず必要です。
不動産が、被相続人の住居として扱われる場合は、一定の要件を満たすと「小規模宅地等の特例」が適用されて相続税の負担を大幅に減少できる可能性があります。
また、不動産は相続時に名義変更を行って相続登記を行いますが、その際に納めるのが登録免許税です。
登録免許税は、相続する不動産の固定資産税評価額に0.4パーセントをかけることで計算できます。
しかし、遺言によって通常相続人にあたる人以外の人が不動産を相続した場合は、税率が2.0パーセントとなってしまいます。
空き家を売却する方は、「所得税」と「住民税」がかかります。
空き家を売却した場合にはまず、譲渡所得を計算します。
譲渡所得は譲渡収入から取得費をひき、それに譲渡費用を足して計算します。
そのようにして計算した譲渡所得に対して、所得税と住民税が課税されることになります。
空き家を空き家として所有し続ける場合、「固定資産税」と「都市計画税」が毎年課せられます。
法人・個人を問わず、毎年1月1日時点での不動産所有者に対して固定資産税が発生します。
これは、原則相続した全ての土地・家屋が対象になるので注意しましょう。
また、都市計画税は、都市計画法によって市街化区域に定められた地域に所在する土地や家屋のみが課税対象です。
固定資産税の調べ方をご紹介!
ここからは、空き家を所得し続ける方が納める「固定資産税」の調べ方をご紹介します。
最も簡単に調べる方法は、納税通知書を確認することです。
毎年4月から6月あたりに、各自治体から固定資産税と都市計画税両方の年間額が記されている納税通知書が届きます。
納税通知書は、特別な申請をしていない限り、基本的に登記簿に記載されている空き家の所有者に対して送られます。
納税通知書が見つからないが、すぐに固定資産税の額を知りたいという方は、1章でもご紹介したように計算によって導き出せます。
とは言っても、固定資産税評価額が何なのか分からない、という方も多いでしょう。
固定資産税評価額は、ご自身で調べない限り分かりません。
固定資産税評価額を調べたい場合には、以下の方法が挙げられます。
課税明細書を使用する
課税明細書とは、納税通知書と合わせて届く書類です。
納税通知書と同じ封筒に入れられていることも多いので、納税通知書が見つからないという方は、課税明細書もない可能性が高いですが、1度確認してみましょう。
各自治体によって記載の方法が異なるため一概には言えませんが、「固定資産税課税標準額」と記載されている欄があれば空き家の評価額を知れるでしょう。
固定資産課税台帳を見る
どの書類も見当たらないという場合は、固定資産課税台帳を閲覧しましょう。
しかし、固定資産課税台帳の閲覧は空き家の所有者、相続人、または借地人など一部の人に限られるため、閲覧に行く際は本人確認書類を忘れないよう注意しましょう。
固定資産税の滞納は危険?
納税通知書を無くしてしまった場合、わざわざ固定資産課税台帳を見に行くのが面倒に思う方も多いでしょう。
しかし面倒だからと言って固定資産税を滞納すると、様々なリスクが発生します。
1つ目は、滞納1日目から延滞金がかかることです。
延滞金の額については、自治体や時期によって異なるので一概には言えませんが、一日でも遅れると延滞金が追加で発生します。
2つ目は、自治体から催告状や督促状が届くことです。
納付期限を超えてから20日以内に、自治体は滞納者に対して督促状を発送することが法律によって定められています。
督促状を無視し、滞納し続けた場合に催告状が届けられます。
また、電話での納付の催告が行われることも珍しくありません。
3つ目は、財産が差し押さえられることです。
催告状が届いてからも滞納を続けた場合、給与や預貯金、財産などが差し押さえられる滞納処分の対象になります。
給与が差し押さえられる場合、職場に「債権差押通知書」が届き、勤務先の人にも滞納を知られてしまうでしょう。
4つ目は、不動産が競売にかけられることです。
競売とは、行政が滞納者の不動産を売却して現金化し、固定資産税を徴収することを指します。
空き家に価値が無いと判断された場合、滞納者が現在住んでいる住居も競売にかけられる可能性があるので注意しましょう。
固定資産税が増額するケースをご紹介!
所有者は、空き家を適切に管理する義務があります。
この義務を放置して空き家が荒廃した場合、特定空き家に指定されて固定資産税が6倍になる可能性があります。
以下のいずれかの条件を満たした場合、特定空き家に指定されると考えましょう。
1つ目は、倒壊の危険性があることです。
建物の老朽や破損箇所を補修していない場合、建物が倒壊して周辺にまで危険が及ぶ可能性があります。
2つ目は、衛生上有害な可能性があることです。
例えば、害獣や害虫が繁殖したり、ゴミが大量に放置されていたりすることが挙げられます。
3つ目は、景観を著しく損なっていることです。
窓ガラスを割れたままにしていたり、草木が家を覆う位にまで繁殖していると、景観を損ねてしまいます。
4つ目は、周辺の生活環境を保全するために放置が不適切だとされることです。
例えば、土砂が大量に流出していたり、枝木や落石が通行の妨げとなっていたりする場合がこれに該当します。
また、放置された空き家は犯罪に利用されるリスクも高くなるので、地域の安全性にまで影響を及ぼしかねません。
このような条件にひとつでも当てはまる場合、特定空き家に指定されるリスクがあります。
特定空き家に指定されると翌年からの固定資産税が最大で6倍まで跳ね上がるので、避けたいところです。
空き家の管理が難しい方の選択肢とは?
空き家を適切に管理することが難しいと判断した場合、特定空き家に指定されてしまう前に対応を取りましょう。
選択肢として、「売却」と「賃貸」の2つが挙げられます。
賃貸にだす
将来的に活用する予定はあるため、今は使っていないけれどそのまま所有し続けたい方におすすめなのが、賃貸にだすことです。
日常的に管理する手間も省けますし、賃貸収入も得られるでしょう。
ただ、空き家の状態によっては内装や設備に対して初期投資が必要な可能性もあります。
売却する
これから維持していく手間やコストを考えると、
必要のない空き家は売却してしまうというのも選択のひとつです。
売却すると、ご紹介したような税金の負担やリスクから解放されるだけでなく、まとまった資金も得られます。
まとめ
今回は、空き家にかかる税金と滞納を放置するリスクを詳しくご紹介しました。
納税や空き家の放置は、ご自身の生活に大きなデメリットを及ぼしかねません。
催告状が届いたり特定空き家に指定されたりするような状況は特に避けたいところです。
そのため住んでいない家であっても、普段から気にかけるようにしましょう。
また、管理が難しく将来的にも活用する予定がない場合は売却を検討するのも良いでしょう。
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