「空き家を相続したが、住む予定がないから解体したい」
「老朽化が進んでいるため更地にしたい」
「活用する手立てがないためどうにかしたい」
親から空き家を相続する方の中には、このような事情から建物の解体を検討する方がいらっしゃいます。
建物を解体するとなると、それなりにお金がかかることになるため、「どのくらい費用がかかるのか」「どうやったら費用を抑えられるのか」などと、お悩みになる方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、空き家の解体をお考えの方に向けて、空き家解体の費用について解説します。
空き家を相続した、あるいは相続する可能性があるという方は、ぜひご覧ください。
そもそも何のために空き家を解体するのか?
「空き家を解体しよう」とお考えの場合、まずは「本当に空き家を解体すべきかどうか」「何のために空き家を解体するのか」といったことを冷静になって考えてみることをおすすめします。
当たり前の事ですが、建物は一度解体してしまうと元には戻らないため、解体する前に目的やメリットデメリットについてきちんと把握しておくことが重要です。
空き家を解体する目的
空き家を解体する目的としては、例えば以下が挙げられます。
・管理の手間をなくしたい
・雑草や害虫、害獣によって近隣に迷惑をかけてしまうことを避けたい
・老朽化した建物を放置しておくのは危険だから解体したい
空き家を放置しておくと、雑草や害虫・害獣の発生、建物の倒壊などによって近隣に迷惑をかけてしまう可能性があります。
そのため、使っていない空き家を所有している場合は、きちんと管理を行うか、早めに解体を行う必要があります。
適切に管理を行える場合は建物を残しておいても問題はありませんが、管理ができない場合、あるいは管理の負担が大きい場合などは、解体を検討した方が良いと言えます。
空き家解体のデメリット
一方で、以下のように、空き家を解体することにはデメリットも存在します。
・土地の固定資産税が6倍になる
・解体のコストがかかる
所有している土地に住居が建てられている場合、「住宅用地の特例」という制度によって、更地の場合に比べて固定資産税が最大6分の1に軽減されます。
一方、空き家を解体した場合は、所有している土地が更地になるため住宅用地の特例の対象外となり、固定資産税が最大で6倍となってしまいます。
空き家を放置していると「特定空き家」に指定され、固定資産税が最大6倍になるという制度がありますが、空き家を解体した場合、特定空き家に指定された場合と同様の税負担となってしまうのです。
つまり、空き家を所有している場合、放置しても解体しても固定資産税の負担が大きくなってしまうというわけです。
そのため、きちんと管理できる場合に限り、建物は残しておいた方が税負担を小さくできるということになります。
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空き家解体の費用は?
解体費用の相場
一軒家の空き家を解体する場合、1坪ごとの費用相場は概ね以下のようになっています。
・木造 :3~5万円/坪
・鉄骨造:5~7万円/坪
・RC造(鉄筋コンクリート造):6~8万円/坪
これらの解体費用は、建物本体の廃棄物処理費用や解体後の整地費用などを含んだ概算の金額です。
上記の目安をもとに30坪の住宅の解体費用を考えると、相場は概ね以下のようになります。
・木造住宅:90〜150万円
・鉄骨造 :150~210万円
・RC造(鉄筋コンクリート造):180〜240万円
50坪の場合は、以下の通りです。
・木造住宅:150〜250万円
・鉄骨造 :250~350万円
・RC造(鉄筋コンクリート造):300〜400万円
ただし、使用されている建材や立地など、様々な要因によって費用は左右されます。
あくまでも目安ということを考慮して、正確な解体費用を知りたい場合はきちんと見積もりをしてもらうようにしましょう。
解体費用の内訳
解体費用の内訳としては、基本的に以下の項目が挙げられます。
・仮設工事費(養生費)
・解体工事費
・廃棄物処分費
・整地費
・清掃費
・諸経費
仮設工事費は足場や養生ネットの設置などにかかる費用、解体工事費は建物の解体・外構の解体・重機手配などにかかる費用が含まれます。
これらの費用は単に家の大きさや構造によって決まるだけではなく、立地や周辺環境によっても左右されます。
例えば、重機が入りにくい場所の場合は作業が難しくなるため、費用が高くなる傾向にあります。
廃棄物処分費は解体工事によって出てくる木材や断熱材、コンクリートなどの廃棄物を処分するための費用です。
その他、設置費や清掃費、諸経費など、解体費用には多くの細かい費用が含まれています。
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解体費用が高くなる原因は?
なるべく安く抑えたい空き家の解体費用ですが、いくつかの条件に当てはまると、解体費用がどうしても高くなってしまいます。
そのような条件としては、例えば以下が挙げられます。
1.道路状況が悪い
前述したように、周辺の道路が細いなどの理由から、重機が入りにくい、あるいは入れない場合は、解体費用が高くなってしまいます。
重機が入れない場合、本来は重機で壊すものを手作業で壊すことになるため、その分人件費が上がってしまうのです。
2.敷地いっぱいに家が建っている
ショベルカーなどの重機を建物まで持ってくることができても、重機が敷地内に入れない場合は、同様に解体費用が高くなってしまいます。
重機が敷地内に入れないケースでは道路を使用しながら解体作業を進めることになりますが、そうした場合、警備員を配置したり、道路使用許可を取ったりと、余分にコストがかかってしまうことになります。
また、敷地いっぱいに建物が建っている場合は、一部を手作業で壊した後で重機を使用することもありますが、こうしたケースでも通常に比べて人件費が高くついてしまいます。
3.地震や火災などで家が損壊している
地震や火災などで家が損壊している場合は、廃材が広範囲にわたって飛散している可能性があります。
そのような場合、廃材の回収や分別に手間がかかるため、通常に比べて費用が割高になりがちです。
また、火災で焼けた建物の場合は、解体作業中の倒壊のリスクが高くなるため、より慎重に作業を行う必要があり、その分コストが高くなります。
解体費用を抑える方法は?
1.事前に家の中のものを処分しておく
解体作業を行うにあたって、家の中に家財道具が残っているかどうかで費用には違いが出てきます。
どうせ家を壊すのだからと、タンスやカーテンなどの家財道具をそのままにして解体を依頼してしまう方がいらっしゃいますが、そのような場合は廃棄物の処理代がかさんでしまうことになるため、あまりおすすめできません。
2.助成金を活用する
各自治体では、空き家問題への対策として助成金制度を設けている場合があります。
適用条件や金額は自治体によって異なるため、ホームページなのであらかじめチェックしておく必要があります。
助成金の利用はかなり大きな節約となるため、必ず確認しておくことをおすすめします。
3.費用が高くなる時期を避ける
積雪の影響を受ける時期や年度末の繁忙期などは、通常時に比べて解体費用が高くなる傾向にあります。
そのため、スケジュール的に可能なのであれば、こうした時期を避けて解体工事を依頼することがおすすめです。
まとめ
今回は、空き家解体にかかる費用について、相場や内訳、高くなる原因、節約方法などを解説しました。
空き家は放置しておいてもあまり良いことがないため早めに解体することがおすすめですが、解体にはどうしてもお金がかかってしまいます。
そのため、きちんと相場や費用の内訳を把握して適正な価格を認識しておくとともに、費用を抑えるコツなどを頭に入れておき、お得に解体できるようにしましょう。