空き家に対して、解体に高額なお金がかかってしまうイメージをお持ちではありませんか。
それが原因で空き家を活用せず、なんとなく所有したままでいる、という方も少なくないでしょう。
そのような場合、空き家の解体に対して補助金が支給される、嬉しい制度があることをご存知でしょうか。
しかし、補助金は誰に対しても支給されるわけではありません。
今回は、空き家の解体工事に補助金がでる理由や適用される条件、注意点などの基本事項をまとめてご紹介します。
今後、空き家を所有する可能性のある方や、空き家を持て余してしまっている、という方はぜひ最後までご一読ください。
空き家の解体工事に補助金が出るのはなぜ?
近年、全国的に空き家の数は増加傾向にあります。
所有者によって適切な管理が行われていれば問題ありませんが、そうでない場合は老朽化が進んで、いつ倒壊してもおかしくない状態になってしまっているでしょう。
耐震性の低い空き家は、災害時に二次被害を招く可能性が非常に高いです。
また、それだけでなく景観や衛生、治安の観点から見ても空き家が抱える問題は多く、ご近所トラブルや犯罪に巻き込まれかねません。
空き家として放置する期間が長ければ長いほど、これらの問題は悪化して、周辺地域に及ぼす悪影響が大きくなります。
このような深刻な空き家問題を解消していくために、国土交通省は「空き家対策総合支援事業」と位置づけて、空き家の除去・活用をする自治体に対して支援を行っています。
そのため、特に空き家が多く所在する自治体では積極的に、空き家の解体に対して補助金を出すといった対策をとるようになりました。
補助金は、おおよそ解体費用の5分の1から2分の1程度支給されるケースが多いです。
空き家対策として行っている支援の名称や条件については自治体によって異なるので、お住まいの自治体のホームページで確認してみましょう。
空き家解体に関する補助金の種類をご紹介!
名称は異なるものの、補助金の種類は基本的に以下の3種類が挙げられます。
老朽危険家屋解体工事補助金
長期間にわたって、適切な管理がされずに放置された家屋を対象に支給されます。
この状態が続くと倒壊してしまう、というリスクを持つ建物に対して補助金を支給して、解体を促進することがねらいです。
都市景観形成地域老朽空き家解体事業補助金
地域の景観を損なわないようにするために、放置された家屋の解体費用を補助します。
補助金を受ける条件として、解体工事後に景観形成基準を満たすような、土地の利用が求められることが多いです。
木造住宅解体工事費補助事業
耐震診断を行った上で、倒壊の可能性が高いと判断された場合に、解体費用の一部を負担してくれる制度です。
また、中には解体だけでなく、空き家の改修工事に対しても補助金を支給する制度を設けている自治体があります。
ガスや水道などインフラの改修や内装、外装の改修まで補助金が支給されることがあります。
どんなときに補助金を受け取れる?
それぞれの制度によって、細かい支給条件は異なりますが、基本的に共通した条件があります。
・個人所有の空き家であること
・築年数が十分に経過していること (特に旧耐震基準建物)
・基準を超えるような老朽、破損箇所が見られること
・税金の滞納がないこと
・所得制限がないこと
まず、空き家の定義として国土交通省は「電気やガスの使用がなく、1年以上誰も住んでいない状態の家」であることとしています。
また、空き家の所有者が複数人いる場合は、全員の同意が得られていることが必須の条件になります。
補助金の対象家屋に築年数を設定している自治体は多く、中でも旧耐震基準建物に当たるものは補助対象になりやすいです。
旧耐震建物とは、1981年より前に建築された、耐震性が極めて乏しいとされる家屋のことです。
1981年に耐震基準の法律改正が行われたため、それ以前の建物は新耐震基準を満たしていない可能性が高いからです。
補助金の対象となる老朽や破損の判定基準は、国土交通省のガイドラインに基づいて各自治体が定めているものになります。
国土交通省の測定基準では、構造部分・インフラ・防火性能・衛生に関する問題を数値化した加算方式で計算されます。
この計算によって導き出された点数が100点を超えた場合、不良住宅と判定されます。
補助金を受ける大前提として、税金を滞納していないかどうかも重要なポイントになります。
補助金は自治体から支給されますが、その元となっているのは国民が支払う税金である場合が多いです。
その点を考慮すると、税金を滞納している人に対して補助金を支給する訳にはいかないことも納得がいきますね。
また、補助を受ける個人の所得制限を設けているケースもあり、その場合前年の所得が1000万円以下であることを基準としている場合が多いです。
補助金はあくまで経済的に苦しい状況にある人のための制度とされているため、比較的お金に余裕があると判断された人に対しては対象から外されてしまいます。
また、その他にも抵当権が設定されていないことや市内の解体業者が解体を受け持つことなど、自治体によって細かく条件や支給金額が設定されているため、申請の前に詳細な情報を入手しておきましょう。
空き家解体の補助金を受ける際のポイントをご紹介!
補助金を受けるために、申請は工事の着手前に行う必要があります。
後からしようと思っていた、と思っても1度着工すると手遅れになってしまいます。
そうなると、予定より数十万円多く自己負担しなければならなくなるため、注意しましょう。
年度ごとに予算や枠は限られているので、工事するタイミングが申請期間内であるかどうか確認しておくことも大切なポイントです。
また、申請を行ってから審査が完了するまでには、時間がかかることを心構えしておきましょう。
倒壊の危険性がどのくらい高いか、老朽化はどのくらい進行しているかをしっかりとチェックする必要があり、1ヶ月以上かかることも珍しくありません。
そのため、余裕をもって申請を行うようにしましょう。
補助金に関する注意点
補助金は、すべて後払いです。
そのため、1度自分で解体費用を全額負担します。
また、補助金は最初に申請してから解体工事の数日後か年度末までに「解体工事完了実績報告書」を自治体に提出し、報告する必要があります。
基本的に、提出期限は工事完了後の30日以内としている自治体がほとんどです。
完了後の報告書の内容が確認されて、おおよそ2から3週間後に補助金が支給されます。
実際に補助金が手に入るまでに、かなりの時間が要することが分かりますね。
まとめ
今回は、空き家の解体に補助金が支給される理由や補助金の種類、基本的な条件、注意点をご紹介しました。
空き家が抱えるリスクは非常に大きいものの、日本では年々増加傾向にあるというのが現状です。
何かトラブルに巻き込まれてしまってからでは、手遅れです。
補助金制度がせっかく用意されているので、利用して空き家を解体することを前向きに検討してみてはいかがでしょうか。
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