「空き家を相続したが、使い道に困っている」
「持っている空き家をどうにか活用したいが、活用方法が分からない」
近年空き家の増加が社会的な問題となっている中、このような悩みをお持ちの方も増加しつつあります。
そこで今回は、空き家の使い道にお困りの方に向けて、再利用の方法や判断のポイントをご紹介します。
空き家の活用方法を知りたいという方も、活用すべきかどうか考えたいという方も、ぜひ参考にしてみてください。
空き家を放置することはおすすめできない
冒頭でも述べたように、近年は高齢化や少子化の影響もあり、空き家の増加が社会全体で問題視されています。
そのように空き家が社会問題になっていることから、空き家の使い道に困ってしまったとしても、そのまま放置することは望ましくありません。
さらに、社会にとってだけではなく、ご自身にとっても、空き家を放置することには多くのデメリットが伴います。
空き家放置のデメリットとしては、例えば以下が挙げられます。
1.大規模な修繕が必要になる
人が住んでいない空き家は、手入れが行われず風通しも悪くなるなどの理由から、劣化のスピードが急速に早まります。
しばらく空き家のまま住宅を放置してしまうと、後から再度住めるように修繕しようとなった場合に、劣化がかなり進行しており、大規模な修繕が必要となる可能性があります。
普段から人が住んでいる家の修繕に比べると、どうしてもコストは高くついてしまうでしょう。
2.税負担が増える
放置された空き家は、状態によっては「特定空き家」に指定されてしまうことがあります。
特定空き家とは、「そのまま放置をすると周囲衛生上・保安上の危険がある」と判断された空き家のことで、このような空き家に対しては、環境を改善するように指導や勧告が行われます。
さらに、特定空き家に指定されると固定資産税が最大6倍、都市計画税が最大3倍になるなど税負担も増えてしまうため、金銭面でかなり大きなデメリットとなります。
3.近隣に迷惑をかけてしまう
放置された空き家では樹木や雑草が伸び放題となり、隣の敷地にまで枝が伸びたり、生い茂った雑草に虫が集まってきたりしてしまいます。
また、放置されて荒れた建物は害虫や害獣のすみかとなり、それらの動物が引き起こす被害によって近隣に大きな損害を与えてしまう場合もあります。
このようなことが起こると、近隣との関係が悪化するだけでなく、場合によっては損害賠償を請求される可能性もあるため要注意です。
4.倒壊などが起こった場合に処分費用がかかる
放置され劣化した建物は、常に損壊や倒壊のリスクに晒されることになります。
特に台風や地震が発生した際には、簡単に倒壊してしまうことも考えられます。
倒壊してしまった建物を放置しておくわけにはいかないため、処分の費用がかかってしまいます。
5.資産価値への悪影響がある
木造の建物は耐用年数が22年となっており、対応年数を過ぎると建物の価値はほとんどゼロになってしまいます。
また、劣化によって見た目や設備の状態も悪くなっていくため、資産としての価値はどんどん下がってしまいます。
価値のない資産を持っていても良いことはないため、活用するにしても売却するにしても、放置せずに早めに動き出すことが重要だと言えます。
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空き家を再利用する際の判断のポイントは?
判断のポイント
・立地
不動産を活用する方法は複数考えられますが、それぞれの方法には最適な立地条件があります。
例えば、空き家が住宅街にある場合はファミリータイプの賃貸住宅として活用するのが良いと言えます。
あるいは、駅からほど近く人通りの多い立地であれば、店舗や商業施設などとして活用する方法も考えられるでしょう。
・広さ
敷地の広さも、活用方法を考える際の1つの判断材料となります。
例えば、庭や駐車場が広く、敷地面積にかなり余裕があるといった場合は、敷地内に複数の賃貸用戸建てを建てたり、空き家を取り壊してアパートを建てたりするといった活用も1つの方法となります。
・目的
空き家を活用しようという場合、闇雲に活用方法を考えるのではなく、はじめに目的を明確にしておくことが大切です。
例えば、多少リスクを負ってでも利益を出したいといった目的の場合は、初期投資にややコストがかかっても、利益を出しやすい活用方法を模索する方が良いと言えます。
反対に、空き家にかかる税金分だけでも賄いたいといった場合には、大きな初期投資はせず、リスクを抑えて安全な活用方法を考える方が賢明だと言えます。
活用方法の種類
・そのまま貸す
空き家をそのままの状態で貸す場合、「初期費用を抑えられる」「すぐに収益を得られる」といったメリットがあります。
一方で、老朽化していたり耐震基準を満たしていなかったりする場合は安全面での懸念があったり、修繕や耐震工事などで結局コストがかかったりしてしまう場合もあります。
・建て替えて貸す
空き家を建て替える場合は、「収益性が上がる」「物件として魅力的になる」といったメリットがあります。
賃貸物件として活用する場合、借主が見つかりやすくなるため、建て替えを行うことは大きなアドバンテージとなります。
一方で、大きなコストがかかることや収益が得られるようになるまでに時間がかかることなどがデメリットとして挙げられます。
・更地にして活用する
空き家を取り壊して更地にする場合、「活用方法の幅が広がる」「立地に合わせた活用方法を選べるようになる」といったメリットが挙げられます。
一方で、解体費用がかかることや、更地にすると建物が建っていたときに比べて固定資産税が高くなることなどがデメリットとして挙げられます。
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空き家の活用方法は?
1.戸建て賃貸
戸建ての賃貸はファミリー層のニーズにマッチしていて、一度入居が決まれば退去までの期間が長くなりやすく、長期に渡って安定した収入を見込めます。
安定した収入を得られることが最大のメリットですが、一方で借り手が見つからないなど、空室リスクには注意が必要です。
2.民泊
2018年6月に民泊新法が施行されて以来、民泊は空き家の活用方法としてかなり注目を集めています。
民泊運営と言っても所有する物件を貸し出すだけで、実際の民泊運営業務は管理会社が代行してくれるため、管理の手間が少ないことがメリットとして挙げられます。
他にも、インバウンド需要を狙って高い収益を狙えるなど、多くのメリットがありますが、建物を汚されたり設備を壊されたりといったトラブルには注意が必要です。
3.サテライトオフィス
リモートワークが普及したことで、サテライトオフィスの需要が高まってきています。
サテライトオフィス勤務を採用する企業も増えてきているため、立地が良ければ比較的ニーズは獲得しやすいと言えるでしょう。
ただし、まだまだサテライトオフィスを利用する企業は限られているため、借り手が見つからないリスクには要注意です。
4.コワーキングスペース
企業向けではなく、個人向けに貸し出すリモートワークスペースは「コワーキングスペース」と呼ばれます。
ネット環境があれば簡単に場所を提供できるため、比較的始めやすい活用方法として注目されています。
ただし、利用客を獲得できないと収益を得られないため、実際に始める前にどの程度利用客が見込めるかを慎重にシミュレーションする必要があると言えます。
5.介護施設
高齢化によって介護施設の需要は高まっており、空き家の活用方法としては相性が良い方法だと言えます。
初期費用がネックになりますが、うまくいけば長期的かつ安定的な収入を見込めます。
6.収納スペース
立地などの問題で賃貸として貸し出すことが難しい場合は、収納スペースとして貸し出す方法もあります。
収納スペースは利用頻度が高くないため、多少立地が悪くても比較的利用者が集まりやすいことが特徴です。
また、初期費用がほとんどかからないといったメリットもあります。
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まとめ
今回は、空き家を放置してはいけない理由や空き家の活用方法を考えるポイント、および活用方法の例をご紹介しました。
空き家を放置すると様々な弊害が生じますが、一方で上手に活用できれば安定的な利益に繋がります。
立地や広さ、目的などから最適な活用方法をよく考え、ベストな選択ができると良いですね。
また、今回ご紹介した活用方法以外にも、空き家は様々な方法で活用されているため、実際に活用を考えているという方はぜひ多くの実例を調べてみてください。