※ 2024/01/06 加筆あり
空き家の所有は、管理はもちろん税金がかかることも大きな負担のひとつです。
できるだけ税金対策を行って負担を軽くしたい、という思いは皆様お持ちでしょう。
そこで今回は、相続した空き家を売却する場合の税金対策と、活用する場合の税金対策をそれぞれご紹介します。
所有する前に知っておくと、いざという時にも冷静に判断できます。
はじめに空き家の相続によって発生する税金の種類に関しても触れるので、税金について知らないという方も安心してご一読ください。
空き家を相続する際にかかる税金をご紹介!
空き家を相続する手続きを進める上で、いくつか税金が必要になるシーンがあります。
まず、「相続税」がかかることは知っている方も多いでしょう。
それに加えて、相続登記をする際に固定資産税評価額の0.4パーセントに相当する「登録免許税」を納める必要があります。
また、土地や家屋を所有し続ける上では必ず、毎年「固定資産税」がかかります。
空き家が市街化区域内にある場合は、同時期に「都市計画税」も課税されるでしょう。
固定資産税は、200平方メートルまでは6分の1となる「住宅用地の特例」という制度があります。
そのため、家屋を取り壊して更地にした場合、約6倍に固定資産税が増税してしまうこともあり、家屋をそのまま放置する方も多いです。
しかし、適切な管理を行わずに放置し「特定空き家」に指定されると、特例の対象外となり更地同様の固定資産税額を支払うことになるので、注意しましょう。
相続した空き家を売却する場合は、譲渡して得た利益に対して「所得税」と「住民税」が課税されます。
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最大3000万円の特別控除とは?
空き家を売却した際にも税金がかかりますが、「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例」という制度を利用することで、最大3000万円の控除が受けられます。
この特別控除を利用するためには、相続が発生してから3年目の12月31日までに、被相続人が住居として使用していた家屋を相続人が売却していることが条件になります。
3年の猶予が設けられているのは、売り出してすぐには買い手が見つからないことが想定されているためです。
通常、空き家を売却した際は譲渡所得に対して、相応の額が課税されます。
利益の半分に近い額を納税しなければならないこともあるため、特別控除によって税負担が軽くなるのは嬉しいところです。
特別控除の対象となるためには、他にも以下の要件を満たしている必要があります。
・相続の開始直前において、被相続人が居住していたこと
・相続の開始直前において、被相続人以外が居住していなかったこと
・1981年5月31日以前に建築された家屋であること
・相続から譲渡に至るまで、賃貸や事業に利用されていなかったこと
・売却代金が1億円以下であること
・譲渡の際、一定の耐震基準を満たしていること
被相続人が相続の開始直前において居住していたこと、という条件については、要介護によって老人ホームに入居していた場合でも対象になります。
しかし、この特例は2023年12月31日をもって終了することが決定されています。
特例を利用して売却しようとお考えの方は、早急に取り掛かる必要があります。
【※ 加筆 2024/01/06】
上記の「居住用財産を譲渡した場合の3000万円の特別控除の特例」は、令和5年度税制改正により、2027年12月31日までと4年の延長が決まりました。
なお、2024年1月1日以降については以下の変更が加えられます。
(1) 耐震リフォーム、除去要件の緩和
従来は売り主が耐震改修、もしくは更地にして引き渡しすることが条件となっていましたが、改正後は売却後に買主がそれらを行っても適用されることになりました。
(2) 相続人が3人以上の場合の控除上限引き下げ
相続または遺贈により取得した相続人の数が3人以上の場合は、一人当たりの控除上限が2000万円に引き下げられます。(相続人が3人の場合、従来は3,000万円×3人=9,000万円。改正後は2,000万円×3人=6,000万円)
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セカンドハウスで税金対策!
思い出の詰まった空き家はなかなか手放しづらいものですよね。
そこで、空き家をセカンドハウスという形で活用し、残す方法をご紹介します。
セカンドハウスとは
セカンドハウスを別荘と混同される方も多いでしょうが、 別荘は夏休みや冬休みなどの長期休暇のときだけ保養目的で利用される方が多いです。
一方、セカンドハウスは勤務先に通いやすい平日に寝泊まりするためだけの住まいを持ちながら週末や休日には家族との時間を過ごして日常生活をおくるための住まいのことを指します。
近年、都心部に人口が集中し、地方部の過疎化が進行していることが問題を呼んでいます。
そのため、政府はこの問題の是正のために、2地域居住の推進策を進めているところです。
さらに、コロナ禍によるテレワークの増加も相まって、徐々にセカンドハウスの所有は広がりつつあります。
セカンドハウスを所有するメリット
セカンドハウスのメリットは、思い出深い実家を残せるだけではありません。
固定資産税や都市計画税などの税金の優遇措置が受けられますし、最終的に子供に資産として遺してあげられます。
別荘扱いでは税金の軽減措置は受けられないため、セカンドハウスの大きなメリットと言えます。
また、相続した空き家をセカンドハウスとして利用すれば、新たに不動産を所得するための初期費用や手間が省けます。
セカンドハウスを所有するデメリット
住む上で最低限の防犯対策を施す必要があることや、実家の近隣コミュニティまで引き継ぐことになる点に関しては、手間に感じられる方もいるでしょう。
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セカンドハウスが難しい方におすすめな税金対策とは?
セカンドハウスとして所有するのが難しい場合でも、他に活用する方法はあります。
1つ目は、親族に貸すことです。
親族や信頼できる間柄の友人に居住してもらえば、空き家ではなくなります。
住んでもらうことで、建物や庭の維持・管理を任せられるので、特定空き家に指定されるような事態を防げます。
また、家賃を支払ってもらうと定期的な収入が見込めるので、その分を固定資産税や都市計画税に充てると良いでしょう。
2つ目は、賃貸物件として貸し出すことです。
空き家の状態にもよりますが、住んでもらえる親戚や友人がいない場合は、市場で貸し出すのもひとつの手です。
ただ、よく知っている間柄の人に貸し出すのとは違うため、物件管理やトラブル対応といった手間が増えることは避けられません。
もちろん、入居者が見つからない間は利益を得られない状態で維持・管理を自身が行う必要があります。
また、初期投資としてリフォーム費用がかかることもあるでしょう。
しかし、低所得者用の賃貸として貸し出すことで、「家賃低廉化補助制度」と呼ばれる補助金制度を利用できるといったメリットもあります。
国または自治体から、最長10年間にわたって月に4万円支給されるため、安定した利益の確保が見込めるでしょう。
空き家を売却することも選択肢のひとつ
将来的に活用する予定がなく、維持管理にかかるコストの負担が重いと感じた場合は、売却することも視野に入れることをおすすめします。
売却すれば固定資産税やリフォーム費用などの長期にわたる多額のコストから開放されるだけでなく、まとまったお金が手に入れられるかもしれません。
生まれ育った実家を残したい気持ちはあるでしょうが、将来自分の子どもに相続するとなったときのことを考えて、よく検討しましょう。
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まとめ
今回は、空き家を今後所有する予定のある方に向けて、税金対策と空き家の活用法をご紹介しました。
空き家を残したい場合は、セカンドハウスとして自身で活用するのが1番ですが、難しい場合は他人に貸し出して利益を得ることで、税金の自己負担を軽くすると良いでしょう。
また、空き家の売却に関する特別控除は終了が迫っているので、利用を考えている方は早急に準備する必要があります。
空き家の売却にはまず不動産査定価格を知って、売り出し価格を決めることから始めましょう。
当サイトでは、インターネットからおおよその査定価格を把握できます。
とりあえず参考程度に知っておきたい、という方はぜひご利用ください。