日本の空き家数は増加の一途を辿り、社会問題化しています。
その対策として制定された「空き家対策特別措置法」が令和5年に改正されました。
今回の改正では、空き家の管理状況に関する新たな基準が設けられ、罰則内容も強化されています。
今回は、改正された法律の内容と、空き家所有者の方々が取るべき対策について解説します。
空き家に関する不安や疑問を解消し、適切な対応に繋げるための情報を提供します。
空き家問題と法律改正の現状
1: 深刻化する日本の空き家問題
日本の空き家数は増加傾向にあり、平成30年の調査では約849万戸に上ると推計されています。
空き家の増加は、防災・防犯、衛生、景観などの問題を引き起こし、地域社会に悪影響を及ぼします。
2: 空き家対策特別措置法改正の背景
空き家問題の深刻化を受け、平成27年に「空き家対策の推進に関する特別措置法」が施行されました。
しかし、その効果は限定的で、より実効性のある対策が求められていました。
そのため、令和5年に同法が改正されました。
改正の背景には、自治体からの制度改善を求める声や、空き家問題への対応強化の必要性がありました。
3: 改正前の法律と問題点
改正前の法律では、「特定空き家」についてのみ行政が介入することができました。
しかし、「特定空き家」になる前に対策を講じる必要性や、所有者不明の空き家への対応、行政による迅速な対応の必要性など、多くの課題が残されていました。
法律改正のポイントと対策
1: 管理不全空き家とは何か?
改正法では、「特定空き家」になるおそれのある状態にある空き家を「管理不全空き家」として新たに定義しました。
これは、危険な状態になる前に早期介入し、問題の発生を予防することを目的としています。
放置すると倒壊などの危険性や、衛生上の問題、景観の悪化などにつながるおそれのある状態が該当します。
2: 特定空き家と管理不全空き家の違い
「特定空き家」は、放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態など、既に著しい危険性や悪影響を及ぼす状態にある空き家です。
「管理不全空き家」は、現状ではそこまで深刻な状態ではないものの、放置すれば「特定空き家」になるおそれのある状態の空き家です。
3: 罰則内容の解説 固定資産税と過料
「管理不全空き家」または「特定空き家」に指定された場合、まず自治体から指導が行われます。
指導に従わず状態が改善されない場合は勧告が行われ、住宅用地特例が適用除外となり、固定資産税が増税されます。
それでも改善されない場合は命令となり、命令に従わないと最大50万円以下の過料が科せられます。
最終的には行政代執行により、空き家の撤去が行われ、費用は所有者負担となります。
4: 空き家問題への具体的な対策 適切な管理と活用方法
空き家所有者は、定期的な清掃、草刈り、建物の修繕など、適切な管理を行う必要があります。
また、空き家を賃貸に出したり、リフォームして自分自身で住んだり、民泊として活用するなど、有効活用することも有効な対策です。
5: 空き家の売却や解体も視野に入れる
適切な管理や活用が困難な場合は、空き家の売却や解体を検討することも必要です。
売却することで管理責任から解放され、固定資産税の負担も軽減できます。
解体する場合は、解体費用が発生しますが、更地にして土地活用を行うことも可能です。
6: 専門家への相談の重要性
空き家に関する法律や手続きは複雑なため、不動産会社や弁護士などの専門家に相談することが重要です。
専門家のアドバイスを受けることで、状況に応じた最適な対策を講じることができます。
まとめ
令和5年の空き家対策特別措置法改正では、「管理不全空き家」が新たに定義され、早期介入による問題予防が強化されました。
その後も改善されない場合は、固定資産税の増税や過料が科される可能性があります。
空き家所有者は、適切な管理、活用、売却、解体など、状況に応じた対策を講じる必要があります。
専門家への相談も有効な手段です。
今回の改正によって、空き家対策の重要性が改めて認識され、所有者には迅速な対応が求められます。
放置すれば、経済的負担が増加するだけでなく、近隣住民への迷惑にもつながる可能性があることを理解しておくべきです。
早めの対応が、安心安全な生活を守ることに繋がります。