善管注意義務とは、取引上の目的となる特定物に対して、その管理者は通常以上(例えるなら自己の財産に対するもの以上)の注意を払う義務を有することを指す。
民法第 400 条にて「善良なる管理者の注意義務」として定められている。
例えば、美術品の売買を行った場合、売主は契約成立後から引き渡しが完了するまでの期間、その美術品に対して善管注意義務を負うことになる。
もし、美術品が破損した場合は、善管注意義務を果たしていたかどうかが問われ、もし果たしていないと判断された場合は、契約の解除や損害賠償責任などの債務不履行責任を負わなければならない。
加えて不動産に当てはめてみると、賃借人は賃貸している部屋に対して善管注意義務を負うため、例えば不注意により壁や床を破損してしまった場合などは、原状回復費用や損害賠償、契約解除などを請求される可能性がある。
これに対して、無報酬で対象物の保管を引き受けた場合や、親が子の財産を管理する場合などは、善管注意義務より程度が軽い注意義務とされ、重大な過失が無い限り、対象物に破損などがあった場合でも損害賠償責任は発生しない。