時効とは、ある状態のまま一定期間が経過した場合に、その状態が正規なものとして確定し、従来保持していた権利が消滅したり、逆に獲得したりするようになることである。
権利が消滅する時効を「消滅時効」、権利を獲得する時効を「取得時効」と呼び、時効はこの二つに分かれる。
取得時効は、不動産を平穏かつ公然と一定期間占有することにより、その不動産の所有権、賃借権などを取得する制度である。
消滅時効は、時効の起算時点から一定の時間が経過すると、債権、用益物権、担保物権などの権利を失う制度である。
時効は、時効により利益を受ける者が、時効の完成を主張することによって、その効果が発生する。
この時効の完成を主張することを「時効の援用」と呼ぶ。
また、時効の完成後に、それにより利益を受ける者がこれを放棄することができる。
これを「時効利益の放棄」と呼ぶ。
逆に、時効により不利益を受ける者は、裁判上の請求等の手続きを取ることにより、時効の完成を妨げることができる。
これを「時効の更新」と呼び、これにより時効が完成するまでの期間を延長させることができる。