無権代理とは、実際には代理権を有していない者が、代理人と称して契約等の法律行為を行うこと、もしくはその者のことである。
本来、代理権は本人(被代理人)が他の者に対して代理権を発生させること(代理権授与行為)により生じ、代理人が行う行為は本人に帰属する。
もし、代理権がそもそも存在しない、または既に失効している、もしくは行った行為が代理権の範囲を超えている場合は、その行為の効果は無効である。
以上より、本来無権代理は本人に対して何らかの効果を及ぼすことは無いが、民法では、無権代理による取引の相手を保護するという観点から、以下の場合は有効になるとされている。
(1) 無権代理による取引を本人が後から追認した場合は、初めからその行為は有効であったことになる(民法第 116 条、117 条)。
例えば、その取引が本人にとって有益な行為であった場合などである。
(2) 取引の相手が無権代理であることを知らず、それに対して過失が無く、かつ本人(非代理人)に何らかの落ち度がある場合、その取引は有効となる。(表見代理)
例えば、代理人(と称した者)には元々何らかの代理権が与えられており、それにより取引の相手が代理権を持っていると誤信してしまった場合などである。