転抵当とは、自分が持つ抵当権を自分が持つ他の債務の担保とすることである。
民法第 376 条第 1 項に規定されている。
転抵当は、抵当権を処分する方法の一つであり、抵当権者と転抵当権者の合意により成立するが、元の抵当権が設定されている債務者に通知し、承諾を得られていなければ、その債務者およびその保証人に対抗できない。
その他対抗要件として、抵当権の付記登記がある。
例を挙げれば、債務者 A が金融機関 B から土地 a を担保として融資を受けた場合、金融機関 B は土地 a の抵当権を有することになるが、その後金融機関 B が別の金融機関 C に対して融資を受ける時、この土地 a の抵当権を担保にすることができ、これが転抵当となる。この時金融機関 C は土地 a の転抵当権者になる。
もとの債務者が抵当権を消滅するためには、転抵当権者に対して第三者弁済した上で、抵当権者に対して第三者弁済に基づく求償権を行使して相殺するという手続きを必要とする。
また、抵当権が実行された場合は、転抵当権者は被担保債権の限度において優先的に弁済を受けることができる。