ゼロエネルギー住宅(ゼロエネ住宅)とは、年間の一次エネルギー消費量が正味(ネット)でゼロまたはほぼゼロになる住宅のことである。
つまり、住宅で使用するエネルギーを、再生可能エネルギーの利用や省エネルギー技術の導入によって賄い、外部からのエネルギー供給を最小限に抑えることを目指すものである。
具体的には以下のような特徴がある。
(1) 高断熱・高気密:住宅の断熱性能や気密性を高め、冷暖房エネルギーの消費を抑える。これには、高性能な断熱材や窓、ドアの使用が含まれる。
(2) 省エネルギー設備:エネルギー効率の高い設備や家電製品を導入する。LED照明や高効率なエアコン、給湯器などがその例である。
(3) 自然エネルギーの活用:太陽光発電システムや太陽熱温水器など、再生可能エネルギーを積極的に利用する。これにより、自宅で発電したエネルギーを家庭内で消費することが可能となる。
(4) エネルギーマネジメントシステム(HEMS):家庭内のエネルギー消費をリアルタイムで監視・管理するシステムを導入する。これにより、エネルギーの無駄を減らし、効率的な利用が可能になる。
(5) パッシブデザイン:自然の光や風を利用して、冷暖房や照明の使用を減らす設計手法である。適切な窓の配置や庇の設置、通風の確保などが含まれる。
ゼロエネ住宅は、環境負荷の低減やエネルギーコストの削減に寄与するだけでなく、快適な住環境を提供することができる。
また、エネルギー自給率が高いため、災害時などのエネルギー供給停止時にも一定の生活を維持できる利点もある。
各国や地域では、ゼロエネルギー住宅の普及を促進するための補助金や税制優遇などの政策が進められており、日本でも「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)」や「再生可能エネルギーの導入等の促進に関する特別措置法」など様々な施策が行われている。