相続とは、ある人物が死亡した時に、当人が有していた財産等の権利・義務を、当人の親族等が包括的に承継することである。
死亡した人物を被相続人、承継する立場の人物を相続人と呼ぶ。
相続人は複数の場合がある。
相続は各相続人に対して、法律で定められた規定により分配されるが、被相続人は死亡する前に遺言を残しておくことにより、その内容を変更することができる。
但し、相続の権利を有する者は、遺言に当人に対する分配の記載が無かったとしても、遺留分として定められる遺産は最低限受け取る権利を有する。
遺言が無い場合、相続人による「遺産分割協議」により遺産分割が決定される。
それでも各相続人の納得が得られない場合は、「遺産分割調停」により家庭裁判所の判断を仰ぐことになる。
相続は、現金、不動産、債権などプラスの資産を引き継ぐと共に、債務も包括して引き継ぐことになるため、その結果トータルでマイナスの資産を引き継ぐ場合もある。
相続が発生した場合、相続人は「単純相続」「相続放棄」「限定相続」を選択することになる。
もし「相続放棄」もしくは「限定相続」としたい場合は、相続の開始を知ってから3カ月以内にその意思表示をする必要が有り、無い場合には単純相続を承認したと見なされる。
2024年1月より、相続が発生する以前に行われた被相続人から相続人への贈与が相続財産に加算される「持ち戻し」の期間が3年から7年に延長された。
ただし、2024年1月以降からの贈与が対象となるため、持ち戻しが7年となるのは7年後の2031年以降ということになる。
同じく2024年1月より、相続時精算課税制度に年間110万円の基礎控除が新設された。
また、2024年1月よりマンションの相続税評価額の計算方法が変更された。
これは、従来の相続税評価額では市場価格との乖離が大きくなる傾向にあり、このことを利用したマンション購入による相続税の大幅削減の事例が顕著になってきたことに起因するものである。
さらに2024年4月より「相続登記」が義務化された。
これは、相続人が相続の開始と不動産の所有権を得たことを知った日から3年以内に名義変更を行わない場合、10万円以内の過料が科される場合があるというものである。
因みに登記の対象となるのは同法が施行される2024年4月以前に取得した不動産も対象となる。