錯誤(さくご)とは、民法によれば、ある人物が内心的効果意思とは異なる表示行為をしており、なおかつ本人がそれを知らない状態のことである。
分かりやすい言葉で言い換えれば、思い違いや勘違いをしている状態のことである。
本来であれば、錯誤による意思表示は無効とされ、意思表示をした人(表意者という)は保護される。
例えば、「ある人物 A が、商品 X を買おうとして、間違えて商品 Y を買ってしまった」場合、この売買は無効にできるということになる。
しかし、この場合、相手方(売主)である人物 B の保護に欠けるという問題が発生する。
このため、A に重大な過失があった場合は、これを無効にすることができない。
重大な過失とは、A が少し調べれば分かっていた場合や、著しい不注意に拠る場合などである。
また、A に重大な過失があった場合でも、B が以下の状態の時は契約を無効にできる。
(1) A が錯誤であることを知っていた場合。
(2) B が重大な過失により、A が錯誤していることを知らなかった場合。
(3) B が A と同一の錯誤の陥っていた場合。
以上の規定は、従来の判例に基づき、2020 年 4 月 1 日に施行された改正民法により明確化された。