「えっ……お父さんの遺言書?」
母のタンスの奥から、私は思わず手を止めた。
古びた封筒に「遺言書」とハッキリ書かれている。手が震えるほど驚いた。でも、次の瞬間、ふと考えた。これって、開けていいの?
実はこの「遺言書を見つけたとき」の対応を間違えると、思わぬトラブルに巻き込まれることがあるんです。

いきなり開けるのはNG!まずは「検認」が必要
遺言書を発見したら、まず勝手に開けないことが大切です。
「家族だし、ちょっと中身を見てもいいんじゃ?」と思うかもしれませんが、封がされている遺言書を家庭裁判所の検認なしで開けると、5万円以下の過料を科されることも…。
では「検認」って何でしょうか?
検認とは、遺言書の存在や内容を家族全員の前で確認するための手続きです。遺言が偽造されるのを防ぐために行われます。
ただし、検認で「この遺言が有効かどうか」を判断するわけではありませんので注意しましょう。
検認の流れは?何をすればいい?
例えば、あなたが遺言書を見つけた場合、
1. 亡くなった人の最後の住所を管轄する家庭裁判所に検認を申し立てる
2. 裁判所から相続人全員に「検認の日程」が通知される
3. 裁判官の立ち合いのもとで開封・確認
こうした流れで進んでいきます。
検認が終わったら「検認済証明書」をもらい、それを持ってようやく相続の手続き(銀行口座や不動産登記など)に進むことができるんですね。
けれども…「こんな面倒な手続き、できるかな?」と不安になる方も多いでしょう。
そんな不安をなくす「遺言書保管制度」とは?
実は今、自筆の遺言書を法務局に保管してもらう制度もあります。これなら、見つけた人が「どうすればいいの?」と悩まずに済むんです。
この「自筆証書遺言書保管制度」を使うと、検認が不要!すぐに遺言の内容をもとに相続手続きができるようになります。
例えば、お父さんが法務局に遺言書を預けていれば、子どもたちはその存在を簡単に確認できる。しかも、形式がきちんと整っているかもチェックされるので、無効になるリスクも減ります。
保管制度の注意点
ただし、この制度を使うには
・本人が直接法務局に行く必要がある(代理不可)
・保管証が交付されるが再発行不可なので注意
また、遺言書が法務局にあることを家族が知らないと意味がないので、「指定者通知」というオプションも忘れずに申し込んでおくと安心です。亡くなったら自動的に家族へ通知がいく仕組みです。
もし遺言書がなかったら?
ちなみに、遺言書がなくても相続はできます。でも、もし家族の間で「誰が何をもらう?」と揉めそうなら…。
遺言書があることで、あなたの大切な人たちが争わずにスムーズに相続できるようになるんです。
まとめ~遺言書を見つけたら焦らずに~
もしあなたが家で遺言書を見つけたら——
絶対に開けないで、まず家庭裁判所へ。
そして、これから遺言書を書こうと思っているなら、法務局で保管する方法もぜひ考えてみてくださいね。
そして、もし相続した不動産の売却を考えているなら、まずは「不動産売却王」での無料査定がオススメです。
不動産の価値を知ることで、相続後の選択肢も広がりますよ。