雪がちらつき始めた12月のある日、涼介さんと妻の美咲さんは、不動産会社のショールームにいました。2人はここ数カ月、夢のマイホームを手に入れるために情報収集を続けてきましたが、住宅価格の高騰と金利上昇が悩みの種でした。
「やっぱりこの物件、良いわね。駅からも近いし、部屋も広いし。」美咲さんが資料を見ながらつぶやきました。
「でも、予算を超えちゃうんだよなぁ。年収の7倍くらい借りることになるし、大丈夫かな……。」涼介さんは頭を抱えました。
涼介さんの言葉に応えるように、不動産会社の担当者が話し始めました。
「最近は、年収の7倍まで借りられる金融機関も増えています。低金利が長く続いたことが背景にありますね。『年収の7倍』という基準は、金融機関が審査の際に設定する上限の一つです。ただ、それはあくまで『借りられる金額』であって、『返せる金額』ではないんです。」
担当者は続けます。「2023年の調査によれば、新築マンションを購入した方の住宅ローンの借入総額が5000万円以上というケースが半数以上を占めています。その背景には、こうした高倍率ローンが可能になっていることがあります。ただし、返済額が大きくなりすぎると、家計への負担が増えるだけでなく、教育費や老後資金が圧迫される可能性もあります。」
「でも、年収の7倍くらい借りられるなら、将来の昇給でなんとかなるんじゃないですか?」と涼介さん。
担当者は慎重な表情で答えました。「確かにそう考える方も多いですが、終身雇用が保障されない時代です。また、返済期間が長くなるほど金利の影響で総返済額が大きくなります。無理のない範囲での予算設定が大切です。」
美咲さんは心配そうに言いました。「じゃあ、家を買うタイミングも今が良いのか、それとも待つべきなのか、判断が難しいですね。」
「そうですね。」担当者はうなずきました。「タイミングに振り回されないためには、出口戦略を考えることが大事です。たとえば、将来住宅を売却して住み替えたり、老後資金に充てる選択肢を視野に入れておくと安心です。資産価値の下がりにくい物件を選ぶことがリスクを軽減します。」
「出口戦略か……。」涼介さんは考え込んでいました。
担当者が続けました。「具体的に売却を考える場合、オンライン査定サービスの『不動産売却王』を利用してみてください。ご自宅の現在の価値を簡単に知ることができます。将来の備えとしても役立ちますよ。」
その日の帰り道、涼介さんは空を見上げてつぶやきました。「家を買うって、ただの買い物じゃないんだな。これからの人生をどう設計するか、その一部なんだ。」
美咲さんは笑顔で頷きました。「私たちの家族にぴったりな家を探しながら、未来のことも一緒に考えましょう。」
こうして涼介さん夫妻は、マイホーム購入という夢に向かって現実的かつ前向きな一歩を踏み出しました。人生の設計図を描きながら、夢を実現する彼らの挑戦は、今始まったばかりです。