これは、不動産に関する法律や税金の知識を、物語形式でわかりやすくお伝えするミニドラマです。
登場する人物や団体はフィクションであり、実在のものではありません。
春のある日、司法書士事務所で働き始めて3ヶ月目の新人・遥(はるか)は、
先輩からある登記の書類を手渡された。
「この区分マンション、保存登記よろしくね。依頼者は買主さんの佐藤さん」
「はい、分かりました!……え? 保存登記?でも佐藤さんって、売主から買った人ですよね?それなら“移転登記”じゃないですか?」
遥は自信満々に返した。
「保存登記ができるのは、建物を最初に持ってた人だけって、学校で習いました!」
■ それ、原則。でも例外があるんだよ。
先輩は静かに笑った。
「それがね、区分建物だけはちょっと特別なんだよ」

■ 登記のルールを思い出してみよう
遥が改めて確認した登記の基本ルールはこうだった:
- 保存登記=“最初の所有者”が登記簿に自分の所有権を初めて記録するもの
- 通常は、その建物を「他人から譲ってもらった人」は保存登記できず、移転登記が必要
■ でも区分建物は例外なんです
マンションのような区分建物では、建設会社がまず建物全体の「表題登記」をします。
その後、各部屋は個別に購入されるわけですが、購入者が保存登記をしないと、法務局にはその部屋の「正式な所有者」として記録されません。
つまり、表題部所有者(建設会社など)から購入した人であっても、
区分建物に関しては保存登記が認められているのです。
■ 原則と例外。実務では両方理解が必要
「なるほど……最初の所有者しか保存登記できないって思い込んでました」
遥がそうつぶやくと、先輩はうなずいた。
「それも間違いじゃないよ。
でも法律って、原則と例外のバランスで成り立ってることが多い。
実務では“例外”まできちんと理解してないと、正しい判断ができないんだよ」
遥は、その言葉をメモ帳にしっかり書き留めた。
■ 不動産の知識は、自分の暮らしを守る力になる
この経験をきっかけに、遥はただの「手続き屋」ではなく、
人の人生に寄り添う司法書士になりたいと強く思うようになった。
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~終わりに~
「原則」だけじゃ足りない。
「例外」も知ってこそ、本当に役立つ知識になる。
遥は今日も、1件1件の登記に向き合っている――それは、人の大切な“証”を守るために。