これは、不動産に関する法律や税金の知識を、物語形式でわかりやすくお伝えするミニドラマです。
登場する人物や団体はフィクションであり、実在のものではありません。
東京都内にある築20年の分譲マンション「桜ヶ丘レジデンス」。
全50戸の中規模マンションで、住民の年齢層も幅広く、管理組合も定期的に開かれていました。
その日、マンションの副理事である山本さん(50代・会社員)は、夜遅くに帰宅するとエントランスが真っ暗なことに気づきました。
「え?電球が切れてるのか…これじゃ足元も見えないし、危ないな…」
翌日、山本さんは管理会社に連絡し、すぐに電球の交換を依頼しました。数日後、エントランスは元のように明るくなり、住民からも「ありがとう」の声が聞こえてきました。

しかし、次の管理組合の会議で、ひと悶着が。
「山本さん、勝手に業者呼んじゃったんですか?
ちゃんと集会で決議を取らないとダメなんじゃないですか?」
その場の空気が一瞬ピリついた瞬間、理事長の佐藤さん(60代・元弁護士)が静かに口を開きました。
「今回の電球交換は、“共用部分の保存行為”に該当します。
区分所有法では、規約で別の定めがなければ、各共有者が単独で行えるとされているんですよ。
つまり、今回のように“現状を維持するため”の軽微な修理やメンテナンスなら、集会の決議は必要ありません」
「へぇ〜、そうなんですね…法律で決まってたなんて知らなかった」
住民たちは驚きながらも、納得した様子でうなずきました。
解説:共用部分の保存行為とは?
「保存行為」とは、マンションなどの共用部分を元の状態に保つための行為を指します。
たとえば、電球の交換、ヒビの補修、手すりのぐらつき直しなどがこれに該当します。
これに対して、設備を新しくする「変更行為」や、使い方を変える「管理行為」は別扱い。
これらは原則として、集会での決議が必要です。
しかし、保存行為については、規約に特別な決まりがない限り、各区分所有者が単独で実行可能。
つまり、「少しの修理くらいなら自分の判断でやってOK!」ということです。
ただし、費用が高額だったり、後でトラブルになる可能性があるなら、やはり管理組合への相談が無難ですね。
不動産売却にも関係がある?
実は、マンションの管理状態や共用部分のトラブルは、不動産の売却価格にも影響します。
「共用部分が荒れている」「管理組合の運営がスムーズでない」――そんな状態だと、買主に敬遠されてしまうことも…。
「今の家、売ったらいくらになるんだろう?」
「管理面は問題ないと思うけど、実際の価値が知りたい」
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