これは不動産にまつわるミニドラマです。
難しいイメージのある不動産のニュースや法律・知識を、物語形式にすることにより、分かりやすく伝える試みです。
※ 基本的に本ドラマは実際の法律や記事に基づいて作成していますが、時期や地域および状況によっては内容が異なる可能性もございますので、御注意ならびに御了承くだいますようお願い致します。
※ 本ドラマで出てくる登場人物、団体等は全てフィクションです。
2024年の春、健太さんは、久しぶりにポストを開けてみた。中には不動産会社からのダイレクトメールがいくつか。どれも「今がチャンス!マンションを高く売却しましょう!」と謳っている。「確かに、都心の中古マンションは値上がりしてるし、売り時なのかもなぁ」と、健太さんは少し考え込んだ。
健太さんが住んでいるのは、東京都心にある築10年のマンション。妻と2人で住んでいるが、そろそろ郊外に広い家を買って子育てに備えたいと、最近よく話していたのだ。しかし、マンションを売るにしても「手取り」がどれくらい残るかが一番気になるところだ。「高く売れても税金でごっそり持っていかれたら意味がないしな」と、健太さんは税金のことを調べ始めた。
3000万円の特別控除に救われる?
健太さんがまず目にしたのは「3000万円の特別控除」の存在だった。これは、マイホームを売却するときに得られる譲渡所得から、最大3000万円まで税金を免除できるという特例のこと。「なるほど、これがあれば税金はかなり抑えられる」と一安心。しかし、さらに読み進めると、この特例を使うと、次に買う家の住宅ローン控除が受けられなくなるという落とし穴があることがわかった。
「うーん、新しい家を買うときの税金控除も考えなきゃいけないのか…」と、健太さんの頭の中は少し混乱してきた。さらに、不動産の譲渡所得がいったいどれくらいになるかを考えると、単純な話ではないことに気づく。取得費や譲渡費用など、売却にかかる費用も含めて、いくらが税金の対象になるのか計算が必要だった。
所有期間によって変わる税率
次に健太さんが知ったのは、所有期間によって税率が変わるということ。所有期間が5年を超えると、税率が軽減される。さらに、10年を超えた場合、6000万円以下の部分については税率が14%まで下がるという。「うちのマンションはもう10年近く住んでいるけど、元日を何回迎えたかがカウントされるらしい。2014年に買ったから、あと少しで10年になるな」と、健太さんはカレンダーを見つめた。
「もし今すぐ売ってしまったら、この軽減税率が適用されないかもしれない」と思い、彼は売却を急ぐべきか、それとももう少し待つべきか悩み始めた。
10年待つ価値があるのか?
健太さんはさらに調べてみたところ、最近のマンション相場の変動にも気を配る必要があると気づいた。東京都心の中古マンションの価格は上昇傾向が続いているが、神奈川や千葉などでは少し下がっているという情報もあった。「今売るのがベストタイミングかもしれないけど、もう少し待てば税率が下がるし…。でも、10年待つ価値があるかどうかは本当に難しい判断だ」と、彼はため息をついた。
将来の赤字リスクにも注意
さらに、税理士の意見を見つけた健太さん。「譲渡所得が3000万円を超える場合や、買い替えた物件を将来売却する際に『赤字』になるリスクもある」と聞いて、さらに慎重にならざるを得なかった。特に、将来のマンション価格の動向は予測が難しい。「親の介護や子供の誕生など、人生のイベントで住み替えのタイミングは決まることが多いけど、税金のことを考えると一層慎重になっちゃうな」と、彼は頭を抱えた。
健太さんの決断
結局、健太さんは税務上のシミュレーションをしっかりと行うため、早めに専門家に相談することを決めた。「次のライフステージに向けて、ベストなタイミングでできるだけ多くの資金を確保したい」と、彼は心に決め、動き始めたのだった。
売却のタイミングや税金の知識は、健太さんだけでなく、多くの人にとって大切なテーマだ。不動産売却王なら、簡単に査定を行い、必要に応じて専門家のアドバイスをもらえるので、これからの売却計画もスムーズに進めることができるだろう。