※この物語はフィクションであり、登場する企業名、団体名、人物名はすべて架空のものです。実在の人物、団体、企業、または出来事とは一切関係ありません。
都心を走る高速道路。その片隅で、小さな変化が静かに進行していた。
高架下のスペース、トンネルの出口付近、サービスエリアの一角——そこに新しく設置されるのは、銀色に輝く太陽光パネルだった。
「道路と太陽光パネル? ちょっと意外な組み合わせだな」
車で移動することが多い会社員の健二は、高速道路を走るたびに目にするその光景に興味を抱いていた。以前は何もなかった場所に、次々とパネルが設置されている。
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彼がその理由を知ったのは、あるニュースを見たときだった。
「国土交通省、新たな制度で道路の脱炭素化を推進」
記事によると、国は道路管理者が「脱炭素計画」を策定すれば、道路周辺に太陽光パネルを設置しやすくする方針を打ち出したという。これまでは「道路以外に置く場所がない」ことを示す必要があったが、これからは脱炭素に貢献する設備なら審査基準が緩和されるのだ。
「なるほど、だから最近増えてるのか…」
健二は感心した。道路は単なる移動のためのインフラではなく、これからはエネルギーを生み出す場所にもなるのだ。設置された太陽光パネルは、トンネルの照明や管理施設の電力をまかない、さらにはEV(電気自動車)の充電設備にも活用される。
「これは便利だな。EVを点検するのも楽になりそうだ」
健二自身も、そろそろガソリン車からEVに買い替えようと考えていた。街中では充電スポットが増えてきたが、長距離移動となるとまだ不安がある。しかし、道路周辺にEV充電設備が設置されるなら、そんな悩みも解消されるかもしれない。
さらに、彼はふと思った。
「こうやって街の景色が変わるってことは、もしかするとオレの住んでる場所も変わるかもしれないな…」
健二は、都内のマンションを所有していたが、最近は売却も考えていた。もし近所に新たなインフラや再生可能エネルギーの設備が整えば、物件の価値も変わるかもしれない。
「そうだ、不動産の価値を知るには、専門の査定が必要だな」
そう思い立った健二は、「不動産売却王」のサイトを開いた。ここでは、オンラインで簡単に自分の物件の価格を知ることができる。査定を受けた後、必要に応じて不動産会社のサポートも受けられるという。
「売るなら今がチャンスかもしれないな」
脱炭素化の波が、道路だけでなく、人々の暮らしにも影響を与えている。健二は、これからの変化に期待しながら、査定の申し込みを進めたのだった。